近年、医師が医療現場を離れる理由に変化が生じていることが、新たな研究で明らかになった。現代の医師は、燃え尽き症候群(バーンアウト)、慢性的な職場ストレス、煩雑な業務負担、患者からの非現実的な要求を、臨床を早期に離れる主な理由として挙げたことが示された。米国医師会の放射線腫瘍医兼診療継続支援部門ディレクターを務めるSea Chen氏らによるこの研究の詳細は、「The Permanente Journal」に5月7日掲載された。Chen氏らは、これは2000年代後半とは異なる傾向だと指摘している。当時は、個人的な健康問題、医療過誤、保険料の上昇、煩雑な業務に対する不満、そして仕事に対する満足感の欠如などを離職理由にする医師が多かったという。Chen氏は、「医師らがなぜ臨床現場を離れたのかをより深く理解することで、医師の職務満足度や定着率の向上につながる有意義な示唆を得られることを期待している」とニュースリリースで述べている。Chen氏らは、2000年から2022年の間に研修期間を終え、医師としてのキャリアが25年未満のあらゆる診療科の医師に対し、2024年5〜6月にアンケート調査を実施した。調査内容は、年齢・性別などの属性、教育歴、臨床研修歴、離職理由などだった。調査に回答した971人(平均年齢45.8歳、女性63.9%)のうち、11.0%は研修修了後に一度も臨床医として働いた経験がなかった。解析の結果、離職理由として特に多かったのは、煩雑な業務負担(44.7%)とストレス過多(44.5%)で、その他に、患者からの非現実的な要求の増大(41.1%)、仕事に対する満足感の欠如(38.4%)なども多かった。自由記述から判明した離職理由のテーマとしては、過重労働、臨床以外への転向、医療システム(組織運営を含む)に対する不満、職業に関連する個人的事情(バーンアウト、精神的消耗、裁量の欠如など)の4つが浮上した。性差も見られ、女性医師は男性医師に比べて、他の家族の介護(7.9%対0.6%)、育児(21.7%対4.2%)、健康問題(13.8%対3.8%)、ストレス過多(31.7%対12.9%)を理由に離職する人が多かった。さらに女性医師は男性医師より短いキャリア期間で離職していた(中央値9年対12年)。研究グループは、現代の医師が医療を離れる理由は、バーンアウトの構成要素と一致していると話す。バーンアウトとは、慢性的な職場ストレスに長期間さらされることで生じる反応であり、精神的消耗、離人感、達成感の欠如を特徴とする。Chen氏は、「今回の研究では、女性医師は男性医師よりも早い段階で臨床現場を離れており、離職理由として育児や家族の介護などを挙げる割合が男性より高かった。育児支援の充実や柔軟な勤務制度、公平な待遇などを通じてこうした問題に対処することができれば、より多くの女性医師を医療現場にとどめる助けになる可能性がある」と述べている。さらに、研究グループは、今回の結果は、医師を確保したいのであれば医療システム側が戦略を転換する必要があることを示していると指摘している。Chen氏は、「医療システムは新設医学部の開設や研修枠の拡大によって医師の数を増やそうとしているが、すでに訓練を受けた現役の医師の支援にも目を向けるべきではないかを問う価値がある」と述べている。(HealthDay News 2026年5月11日) https://www.healthday.com/health-news/public-health/why-doctors-are-quitting-at-an-earlier-age Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock