女性の主要な健康疾患の一つである多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome;PCOS)の名称を、polyendocrine metabolic ovarian syndrome(PMOS、多内分泌代謝性卵巣症候群)へ改称することについて、国際的合意が形成された。専門家は、この名称変更が、世界中で1億7000万人以上の女性が罹患しているこの疾患の診断および治療のあり方を変える可能性があるとしている。モナシュ大学(オーストラリア)Monash Centre for Health Research & ImplementationのHelena Teede氏らがまとめたこの改称に関する国際的合意形成の経緯と理由は、「The Lancet」に5月12日掲載された。世界で8人に1人の女性が罹患しているPCOSは、ホルモンバランスの異常、体重および代謝の問題、メンタルヘルス症状、ニキビ(ざ瘡)などの皮膚症状、月経異常、不妊などと関連することが知られている。Teede氏らは論文の中で、従来のPCOSという名称は、本疾患が卵巣の嚢胞によって生じるかのような誤解を招くものであり、実際の病態を正しく反映していないと指摘している。Teede氏は、「現在では、PCOSは卵巣に病的な嚢胞が形成される疾患ではないことが分かっている。この疾患に見られる多様な特徴は、これまで十分に理解されていなかった」と述べている。研究グループは、この誤解が多くの患者において診断の遅れや不十分なケアにつながってきたと指摘している。今回の改称に関する合意が形成されるまでには14年を要した。56の学術・医療・患者団体が参加し、1万4,360人の患者および多職種の医療従事者を対象に世界規模の調査やデルファイ法(専門家に対するアンケート調査を繰り返し、結果をフィードバックしながら意見を集約する手法)による検討、ワークショップなどが行われた。新名称を決める際には、科学的な正確性、分かりやすさ、スティグマ回避、文化的適切性、実装のしやすさが考慮された。疾患の多系統に及ぶ病態生理を反映する用語として、「多内分泌性」「代謝性」「卵巣性」が支持され、最終的にPMOSの名称で合意に至った。患者支援団体Verityの代表であり、PMOSの認知向上に取り組む患者擁護者であるRachel Morman氏は、「新しい名称は、この疾患の本質的な複雑性を反映している。この改称は、この疾患が長期的かつ複雑な健康問題であることを、より真剣に受け止める契機となるだろう」と述べている。新名称は、今後3年間にわたり、世界的な教育および啓発キャンペーンを通じて段階的に導入される予定である。専門家らは、これにより世界中の女性に対して、より早期の診断、より良い治療、そして長期的により適切なケアが実現することを期待している。(HealthDay News 2026年5月15日) https://www.healthday.com/health-news/women-health/pcos-gets-a-new-name-in-landmark-womens-health-shift Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(26)00717-8/fulltext