前立腺がんに対して通常よりも短期間で集中的な放射線治療を行っても安全である可能性が、新たなパイロット試験で示された。1回当たりの放射線量を増やして通常の5回照射を2回照射に減らしても、5回照射と比べて副作用が増えることはなかったという。英Royal Marsden NHS Foundation Trustおよび英ロンドン大学がん研究所のSian Cooper氏らによるこの研究結果は、欧州放射線腫瘍学会(ESTRO 2026、5月15~19日、スウェーデン・ストックホルム)で発表された。研究グループは、「この小規模試験の結果は、わずか数回の通院で安全かつ有効な放射線治療を実施できる可能性を示している」と述べている。またCooper氏は、「患者にとって、2回の治療コースは従来の放射線治療で必要とされてきた数週間にわたる毎日の通院より、はるかに負担が少ない。この利便性は、仕事、余暇、家族生活、旅行といった面で明確な利点をもたらす」と話している。この小規模臨床試験では、局所前立腺がん患者46人を登録し、2週間で5回放射線照射を行う標準治療と同じ総線量を8日間で2回の照射にした場合の安全性を検討した。対象者のうち、24人は標準的な5回照射を、22人は集中的な2回照射を受けた。治療は全て、最新鋭のMRリニアックシステムを用いて実施された。この装置はMRI画像診断と放射線照射を組み合わせたもので、リアルタイムでMRI画像を得られるため、周囲の正常組織への照射を抑えながら前立腺を高精度に照射できる。その結果、両群とも約4人に1人に治療後6カ月から2年の間に頻尿や切迫尿など泌尿器系に中等度の副作用が生じたが、泌尿器系や腸管系での重度の副作用は報告されなかった。勃起障害が見られた患者は、5回照射群の方が2回照射群より多かった。Cooper氏はニュースリリースで、「2年後の時点で、患者らは生活の質(QOL)にほとんど変化がないと報告した。2回照射群が経験した副作用は、標準的な5回照射群と比較して差がないか、あってもごくわずかだった」と説明している。ESTRO会長であるチューリヒ大学(スイス)放射線腫瘍学ディレクターを務めるMatthias Guckenberger氏は、「前立腺がんに対する放射線治療は、手術と比較して膀胱機能障害や勃起障害のリスクを低減できる可能性がある。治療を2回に限定することで患者の通院回数を減らすことができるため、放射線治療施設から遠方に住む患者にとっても治療完遂が容易になる」と述べている。ただし、MRIを用いて放射線を精密照射できる装置を備えた病院は、現時点ではまだ多くないという。Guckenberger氏は、「今回の試験で使用された技術は、現在のところ、世界でも限られた専門施設にしか導入されていないが、その数は急速に増加している。今回の結果は、こうした技術の活用法を導く助けとなり、2回照射の放射線治療が新たな標準治療となるべきかどうかを理解する一助となる可能性がある」と述べている。研究グループは、より短期間で集中的な放射線治療が、前立腺がんに対して標準的な5回照射と同等の有効性を持つかどうかを確認するため、さらなる研究が必要であるとしている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年5月19日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/short-intense-radiation-therapy-safe-for-prostate-cancer-patients Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Shutterstock (参考情報)Press Releasehttps://www.icr.ac.uk/about-us/icr-news/detail/men-can-be-safely-treated-with-two-radiotherapy-sessions-for-localised-prostate-cancer-with-no-increase-in-side-effects-in-comparison-to-five-sessions https://www.royalmarsden.nhs.uk/news-and-events/news/men-can-be-safely-treated-two-radiotherapy-sessions-localised-prostate-cancer