ニューヨーク市が実施したカビ対策プログラムによって、公営住宅の住民の間で喘息関連の救急外来(ED)受診数が減少したことが、新たな研究で示された。ニューヨーク市では2019年、集合住宅内のカビを原因とする喘息に苦しんでいた住民らが集団訴訟を起こしたことを受け、カビ対策プログラム「カビバスターズ(Mold Busters)」を構築した。研究を実施した米テキサス大学オースティン校のNina Flores氏らによると、同プログラムによって喘息関連のED受診数が25%減少したという。この研究は、米国胸部学会年次学術集会(ATS 2026、5月15~20日、オーランド)で発表された。この結果についてFlores氏は、「喘息の誘発要因に対処する住宅介入が、長年続いてきた喘息格差を縮める上で重要な役割を果たし得ることを示唆するものだ」と述べている。米疾病対策センター(CDC)によると、カビは喘息の既知の誘発要因の一つである。研究グループによると、カビバスターズでは、公営住宅でのカビの報告に対する市の対応を改善し、エビデンスに基づいた最適なカビ除去方法に関する職員研修が行われた。今回の研究では、2016〜2023年のニューヨーク市の公営住宅の建物単位で集計した喘息関連ED受診データを用いて、カビバスターズの対象となった公営住宅居住者の喘息によるED受診数を、所得水準が同程度の近隣地域の住民で構成された対照群と比較した。その結果、カビバスターズの介入を受けた群の喘息関連ED受診数が、対照群と比べて1,000人当たり年間平均9.0件少なかった。これは、年間約2,800件の受診減少に相当する。また、カビの苦情が最も大きく減少した建物では、喘息関連ED受診数も大幅に減少した。Flores氏は、「このことは、カビバスターズが実際に住民の健康状態の改善に寄与した可能性を示している」と説明している。さらに同氏は、「今回の研究では、ED受診を要するほどではないが欠勤や学校欠席につながるような軽症の喘息やアレルギー症状については追跡していなかった。そのため、実際のカビバスターズの効果は研究で確認された効果を上回る可能性がある」との見解を示し、「本研究で報告された健康上のベネフィットは、この介入による全体的な健康関連のベネフィットを過小評価している可能性が高い」と述べている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年5月18日) https://www.healthday.com/health-news/asthma/nyc-mold-removal-program-cut-asthma-er-cases-by-a-quarter-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock