睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療法の一つであるCPAP(持続陽圧呼吸療法)を忍容できない患者では、毎晩1回服用する錠剤がCPAPに代わる治療法となり得ることが、第3相臨床試験で示された。実験的治療薬AD109(aroxybutynin/atomoxetine)は、上気道筋の弛緩を抑制する作用を有する。臨床試験では、この薬を服用した患者で、睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の合計数(無呼吸低呼吸指数〔AHI〕)が約44%低下したという。米ピッツバーグ大学医療センターの睡眠医療専門医であるPatrick John Strollo氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に5月18日掲載された。OSAは、喉の筋肉が弛緩して気道を塞ぎ、睡眠中に断続的な呼吸停止を引き起こす疾患である。CPAPはOSAの標準治療であるが、患者は騒音を伴うこともある装置に接続されたマスクを装着して眠らなければならない。Strollo氏は、「CPAPは多くの患者にとって継続が難しいものだ」と指摘する。Strollo氏は、「心血管疾患、喘息、2型糖尿病などの多くの慢性疾患において、診断された患者の多くが未治療または治療不十分のままでいることは考えにくい。だがOSAではそれが依然として現実である」とニュースリリースで述べている。今回の臨床試験では、軽度~重度のOSA患者646人(年齢中央値58歳、女性49.3%)をAD109群(324人)またはプラセボ群(322人)にランダムに割り付け、AD109の有効性と安全性を検討した。試験完了率はAD109群83.3%、プラセボ群85.9%だった。その結果、26週時点までのAHI変化量は、AD109群で−3.3回/時、プラセボ群で0.7回/時であり、群間差は−4.0回/時だった。これは、AD109群でAHIが幾何平均44.1%減少したことに相当し、プラセボ群の17.6%減少を上回った。また、AD109群ではプラセボ群と比べて、26週時点の酸素飽和度低下指数(ODI)と低酸素負荷(HB)にも改善傾向が認められた。疲労指標については、全体では有意差は認められなかった。さらにAD109群では、26週時点で17.6%がAHI 5回/時未満に達し、OSAが完全にコントロールされた状態となった(プラセボ群では9.3%)。主な副作用は、口の渇き、悪心、不眠、排尿困難などで、AD109群の21.2%、プラセボ群の3.1%は副作用のため治療を中止した。Strollo氏は、「これらの結果は、神経筋機能障害を標的とする治療が、臨床的に意義のある改善につながり得ることを示す有望な証拠であり、この疾患の病態に関する生物学的理解の進展とも一致している」と述べている。さらに同氏は、「睡眠中の気道虚脱に関与する神経筋系の制御因子を標的とする経口薬は、こうした治療格差を埋め、現在も未治療の患者に対して有効な治療選択肢を広げる可能性がある」と語っている。AD109は、米食品医薬品局(FDA)から迅速審査を目的とする「ファストトラック指定」を受けている。開発企業であるApnimed社は、すでにFDAへ新薬承認申請を提出している。なお、本臨床試験は、Apnimed社の資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2026年5月20日) https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/once-a-day-pill-effective-in-treating-sleep-apnea-without-cpap-clinical-trial-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://academic.oup.com/ajrccm/advance-article/doi/10.1093/ajrccm/aamag215/8680221