ほこりには、オフィスや学校などの建物の中で流行しているウイルスに関する手がかりが含まれていることが、米オハイオ州立大学環境保健科学准教授のKaren Dannemiller氏らによる研究で明らかになった。Dannemiller氏は、「こうした研究は、懸念されるさまざまな問題について幅広い種類の建物をモニタリングする上で有用だ」とニュースリリースの中で述べている。詳細は、「Building and Environment」に5月15日掲載された。排水などの廃棄物は、地域社会におけるウイルス拡散を追跡するために以前から利用されてきた。今回の研究によると、どこにでもあるほこりから採取した試料が、将来的には特定の場所において同様の役割を果たす可能性があるという。Dannemiller氏は、「本研究は、さまざまな感染症を建物レベルで監視する上で、技術をどう活用できるのかを理解するための第一歩となるものだ。最終的には、より適切な予防措置を講じることや、より的確な資源の配分を行うことにつながる」と述べている。Dannemiller氏らは今回、学校、大学の学生寮、オフィスなど27カ所からほこりの試料を採取した。次に、全ゲノムを対象としたハイブリッドキャプチャー法による次世代シーケンス解析を行い、その結果を約200種類の病原体の遺伝子配列データベースと照合した。これにより、ウイルスが分解された後も環境中に残存する可能性のあるRNA分子などを特定した。その結果、ほこりの試料から新型コロナウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス)など54種類のウイルス由来の遺伝子断片(以下、ウイルス断片)が検出された。本研究では、検出されたウイルス断片の感染性については調べていないものの、研究グループは、ほこりの中に残ったウイルス断片が実際に感染力を持っている可能性は低いとしている。しかし、そうしたウイルス断片の有無を調べることで、特定の傾向が明らかになることがある。例えば、小児の感染症との関連が知られている3種類のウイルスは、主に成人が利用する環境と比べて、子どもが利用する環境で有意に多く検出された。また、この研究では、収集された全試料の85%から一般的な風邪の原因となるライノウイルスが検出された。Dannemiller氏は、「地域社会における感染症を追跡するさまざまな方法を理解することは極めて重要だ。大規模なレベルで感染症のクラスターを追跡する下水モニタリングと同様に、より小規模な集団に対して同様の効果をもたらす中間的なツールをわれわれは開発した」と説明している。Dannemiller氏はまた、今回の研究は「画期的な取り組み」だったとしている。それは、これまでにも科学者らがほこりの中のウイルスを遺伝子レベルで追跡したことはあったものの、「その範囲はかなり限定的であり、ウイルスを追跡するサーベイランスのツールとして提案されたことはなかった」からだ。 現時点では、ウイルス検査に用いる標準的なほこりの採取技術はまだ確立されていない。研究グループは次の段階の研究で、今回使用した技術がより広範囲の環境に適用できるかどうかを検証する予定だという。 なお、本研究は米空軍研究所(AFRL)、米国立衛生研究所(NIH)、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の支援を受けて実施された。(HealthDay News 2026年5月26日) https://www.healthday.com/health-news/infectious-disease/dust-yields-clues-to-viral-outbreaks-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Blackmint Studio -- Adobe Stock