お腹の中で胎児と臍帯が絶えず動いていても、それらを連続的かつ自動的にモニタリングできるウェアラブル超音波パッチ(UPatch)に関する研究成果が報告された。このパッチには柔軟性があり、腹部に貼り付けて使用するもので、取得された超音波データはケーブルを介してコンピューターへ送信される。妊婦62人を対象とした今回の試験では、このパッチが従来の超音波診断装置とほぼ同等の性能を示すことが確認された。研究グループは、このパッチによりハイリスク妊娠において異常を早期発見できる可能性があると見ている。米スタンフォード大学医学部麻酔学・周術期医療・疼痛医学分野のGeonho Park氏らによるこの研究結果は、「Nature Biotechnology」に5月26日掲載された。通常の超音波検査では、専門的な訓練を受けた検査技師がプローブを操作して対象を追跡し続けなければならず、また、決められた時間内に胎児の様子をその時点のスナップショットとしてしか評価できないという欠点があった。これに対して研究グループが開発したUPatchには、超音波画像から血管などの対象構造を自動認識する技術が用いられており、胎児または母親が体位を変えても臍帯が自動追跡される。パッチは、臍帯を構成する主要な3本の血管(2本の動脈と1本の静脈)を画像化でき、胎児の主要動脈の血流も測定できる。さらに、頭囲、腹囲、脚長を追跡して胎児の体重の推定にも利用できる。今回の研究では、2カ所の医療施設の妊婦62人を対象に、UPatchによる妊娠モニタリングの有効性を検討した。対象には、正常妊娠の妊婦だけでなく、SGA(在胎週数に比して小さい)児やLGA(在胎週数に比べ大きい)児を有する妊婦や、妊娠糖尿病や妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧症の妊婦も含まれていた。その結果、UPatchの測定値は、携帯型の臨床用超音波装置による測定値と良好に一致することが確認された。さらに、52人分の連続モニタリングデータを解析した結果、データはそれぞれの周産期の状態の特徴をよく反映していることも示された。研究グループによると、1例では、UPatchが妊娠の継続と児の救命に貢献したという。Park氏はニュースリリースで、「彼女は妊娠28週で、分娩にはまだかなり早い時期だった。最初の検査では、胎児の心拍数は正常だった。しかし、血流のシグナルにはかなりの異常が認められた」と述べている。超音波データでは、臍帯内の血流に大きな変動が認められた。健康な妊娠では、この時期の血流は通常安定していることから、これは問題が生じている可能性を示す兆候と考えられた。同氏は、「装置に不具合がある可能性を疑い、全てを確認したが、装置自体に問題はなかった。そこで、その場にいた医師らにデータを見せたところ、胎児が危険な状態にある可能性が高いとの見解で一致した」と話す。その後の追加検査により、胎盤に異常が生じていたことが確認され、その4日後に帝王切開を実施した。出生した児は、新生児集中治療室(NICU)での治療を受けた後、良好な経過をたどった。Park氏は、「ウェアラブル超音波技術は、これまで不可能だった形で継続的な胎児モニタリングを可能にし、妊娠転帰を改善する可能性を秘めている」と述べている。研究チームは現在、UPatchの有効性についてさらなる検証を進めている。スタンフォード大学医学部のハイリスク妊娠専門産科医であり、今後の検証研究に参加予定のJane Chueh氏は、「胎盤の機能不全が疑われる症例では、胎児の健康状態を評価する上で臍帯動脈血流は重要な指標の一つである。現在、ハイリスク妊娠の患者では、医師が必要な情報を必要なタイミングで得ることが難しい場合があるが、このデバイスによって、その情報をはるかに容易に取得できるようになるのではないか」とコメントしている。(HealthDay News 2026年5月28日) https://www.healthday.com/health-news/health-technology/wearable-ultrasound-patch-monitors-high-risk-pregnancies-in-real-time Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Geonho (Tom) Park