「犬が宿題を食べてしまった」「妹が先に始めた」「携帯電話の充電が切れていた」——。子どもがつくこんなうそに、大人はいら立ちを覚えがちだ。しかし、子どもが時々うそをつくのはよくあることであり、大半は成人後の深刻な問題につながらないことが新たな研究で示された。一方で、うそをつく行動が持続したり、年齢とともに頻度が増加したりする子どもは、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い傾向が見られ、若年成人期に反社会性パーソナリティ症の診断や犯罪歴との関連が認められたという。マギル大学(カナダ)教育・カウンセリング心理学教授のVictoria Talwar氏らによるこの研究結果は、「Development and Psychopathology」に5月27日掲載された。Talwar氏は、「子どもが皆、同じような発達パターンでうそをつくわけではない。今回の研究では、大半の子どもが、経時的に見るとうそをつく頻度が低いままで推移するか、あるいは減少していた。ほとんどの子どもにとって、うそは問題行動ではない」とニュースリリースで述べている。この研究では、長期追跡研究(Quebec Longitudinal Study of Kindergarten Children;QLSKC)の参加者であり、1986~1987年と1987~1988年にカナダ・ケベック州で幼稚園に通っていた3,017人の子どもが対象とされた。QLSKCでは、保護者と教師が、子どものうそをつく行動やその他の行動について、6歳から19歳まで継続的に報告していた。研究グループはそのデータを用いて、年齢が上がるにつれうそをつく頻度がどのように推移したか(うその軌跡)に基づき潜在的な軌跡クラスを抽出し、それぞれの軌跡と、攻撃性などの特性との関連を解析した。さらに、22歳時点で反社会性パーソナリティ症の診断の有無を評価するとともに、25歳までの犯罪歴を調査し、これらと軌跡クラスとの関連を検討した。保護者と教師の評価を別々に分析した結果、いずれも3つの潜在的な軌跡クラスが認められた。教師による評価に基づく潜在的な軌跡クラスは、初期からうそをつく頻度が低いまま推移する「低頻度群」(73%)、初期の頻度が低頻度群より高く、その後も増加する「増加群」(22%)、初期には頻度が最も高いが、その後減少する「減少群」(5%)であった。これらの軌跡クラスと関連する要因について検討した結果、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い子どもは、増加群または減少群に属しやすいことが示された。また、低頻度群は他の2群と比べて19歳時の攻撃性が有意に低く、25歳までの犯罪歴も少なかった。一方、増加群は低頻度群に比べて反社会性パーソナリティ症のリスクが高かったが、増加群と減少群との間に有意差は認められなかった。保護者の評価では、全期間を通じて時々うそをつくレベルで推移する「時々うそをつく群」(58%)、6歳時からうそをつく頻度が低く、19歳までにはほとんどうそをつかなくなる「低頻度群」(30%)、6歳時には中程度の頻度でうそをつき、その後頻度が高くなるが急激に低下し、19歳までにほぼうそをつかなくなる「増加後に減少する群」(12%)の3つの軌跡クラスが認められた。これらの軌跡クラスと関連する要因について検討した結果、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い子どもは低頻度群以外の群に属しやすく、特に時々うそをつく群では、19歳時の攻撃性や25歳までの犯罪歴、反社会性パーソナリティ症の基準該当数も他の2群より有意に多かった。Talwar氏は、「この研究は、正常な発達過程と、早期の支援が有益となり得るパターンを区別して理解する第一歩となる。また、うそに対するスティグマ(偏見)を軽減するとともに、将来的な悪影響を防ぐための予防策の改善にも役立つ」と説明している。その上で、「長期間にわたってうそをつき続けたり、うその頻度が増加したりする場合、とりわけ攻撃性や衝動性を伴う場合には、単に罰を与えるのではなく、早期の支援や介入が必要であることを示すサインかもしれない」と付け加えている。(HealthDay News 2026年6月1日) https://www.healthday.com/health-news/child-health/childhood-lying-is-normal-and-rarely-signals-behavioral-concerns-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: AlexPhotoStock -- Adobe Stock