最近、米食品医薬品局(FDA)により承認されたがん免疫療法であるテクリスタマブ(商品名テクベイリ)により、再発・難治性の多発性骨髄腫患者のほぼ3分の2を完全寛解に導くことができたとする臨床試験の結果が報告された。テクリスタマブを投与された患者の約70%が18カ月間にわたり、がんの進行が認められない状態を維持したのに対し、標準治療を受けた患者では約27%にとどまったという。米マイアミ大学ミラー医学部シルベスター総合がんセンターのCarl Ola Landgren氏らによるこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に5月29日掲載された。Landgren氏は、「今回の研究により、初めて再発を経験した多発性骨髄腫患者に対する化学療法を用いない免疫療法の選択肢が得られた。これらの治療により、非常に深い治療反応と長期的な臨床的利益が得られることが確認されている。これは骨髄腫治療における大きな変革の一部だ」と述べている。多発性骨髄腫とは、骨髄内に存在する形質細胞(白血球の一種)ががん化する血液がんの一種である。この疾患は初回治療後に再発することが多く、再発時にがんを抑え込むための追加治療が求められている。テクリスタマブは、BCMA(B細胞成熟抗原)を発現する骨髄腫細胞とT細胞のCD3を結び付け、T細胞にがん細胞を攻撃させる二重特異性抗体である。FDAは2026年3月に、テクリスタマブとダラツムマブの併用療法を、再発・難治性多発性骨髄腫の治療として承認した。今回の試験では、1~3ラインの治療歴を有する24カ国の再発・難治性の多発性骨髄腫患者593人が登録された。参加者は、296人がテクリスタマブを投与する群に、残る297人が標準治療(PVdレジメンまたはKdレジメン)を受ける群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とした。中間解析の結果(追跡期間中央値17.3カ月)、テクリスタマブ群では標準治療群と比較してPFSが有意に延長し、18カ月時点の無増悪生存率はテクリスタマブ群で69.8%、標準治療群で26.9%と推定された。また、テクリスタマブ群では、疾患進行または死亡のリスクが71%低下することも示された(ハザード比0.29、P<0.001)。完全寛解率は、テクリスタマブ群で65.9%、標準治療群で16.8%、全生存率はそれぞれ79.2%、68.6%と推定された。副作用としては、テクリスタマブ群の41.6%、標準治療群の29.0%にグレード3または4の感染症が報告されている。そのため、抗ウイルス薬や抗生物質による予防投与を含めた厳重なモニタリングが必要とされる。Landgren氏は、「この薬剤が世界各地の患者において非常に高い有効性と安全性を示していることは、この薬の有用性を支持する非常に強いシグナルである。また、既存の多発性骨髄腫治療に抵抗性を示した患者においても有効であった点は重要である」と述べている。研究グループは現在、テクリスタマブのような薬剤が、多発性骨髄腫の初回治療としても有効かどうかについても検討を進めている。Landgren氏は、「私の目標は治癒戦略を確立することだ。われわれは、疾患を完全に排除するか、あるいは長期間にわたり制御しながら患者の負担と生活の質(QOL)を維持する治療法の確立を目指している」と述べている。なお、本試験は、テクリスタマブの製造企業であるJohnson & Johnson社の資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2026年6月3日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/chemo-free-drug-shows-major-survival-remission-gains-in-relapsed-multiple-myeloma Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock