かつて妊婦は安静に過ごすよう勧められることが多かった。しかし新たな研究で、日常生活の中に軽度であっても身体活動を取り入れている女性と比べて、座位で過ごす時間が長い女性では妊娠合併症のリスクが高いことが明らかになった。米ウェストバージニア大学公衆衛生大学院疫学・生物統計学部門長のBethany Barone Gibbs氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に5月27日掲載された。この研究では、ウェストバージニア州、ペンシルベニア州、およびアイオワ州在住の妊娠13週未満の妊婦470人(平均年齢30.7歳)を対象に、座位行動(sedentary behavior;SED)、軽度の身体活動(light-intensity physical activity;LPA)、および1日の歩数と妊娠転帰(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産、在胎週数に比べて小さい〔SGA〕児)との関連を検討した。参加者は、身体活動量計を1日24時間、7日間連続で大腿部に装着して身体活動と歩数を測定した。このデータを基に、SED時間、LPA時間、および1日の歩数について参加者をそれぞれグループ分けした。平均すると参加者の1日当たりのSED時間は10.1時間、LPA時間は4.6時間、歩数は6,783歩であった。妊娠合併症の発生率は、SEDが低い群(7.3時間/日)で19.0%、SEDが高い群(10.4時間/日)で42.3%、SEDが非常に高い群(11.8時間/日)で41.6%であった。解析の結果、SEDが低い群と比べてSEDが高い群および非常に高い群では妊娠合併症リスクがいずれも2倍以上高かった(調整相対リスク〔調整RR〕はそれぞれ、2.22、2.19)。一方、LPA量が低い群(3.0時間/日)と比べて、LPA量が非常に高い群(7.3時間/日)では、妊娠合併症リスクがほぼ半減していた(調整RR 0.52)。さらに、歩数が少ない群(平均3,918歩)と比べて、歩数が多い群(8,519歩)および非常に多い群(1万1,863歩)では妊娠合併症リスクが有意に低かった(調整RR=0.67、0.60)。Gibbs氏はニュースリリースで、「妊娠中のSED時間が長いことは健康に好ましくないだろうと予想してはいたが、追加的なリスクの大きさは想定以上であった。この研究は、長時間座り続けることの多い生活パターンは、妊娠中には避けるべきだという考えを支持するものだ」と話している。研究グループは、今回の結果から、座位時間を減らして体を動かす時間を増やすことが、健康な妊娠を維持するための重要な鍵となる可能性が示されたとの見方を示している。Gibbs氏は、「今回の知見は、必ずしも運動である必要はなく、単に立ち上がって体を動かす機会を増やすだけでも、こうした妊娠合併症を回避する助けになる可能性があることを示唆している」と述べている。Gibbs氏はまた、妊婦に対し、歩数を記録し、定期的に立ち上がるよう促してくれるウェアラブルデバイスの活用を検討することも提案している。同氏は、「こうしたデバイスの多くは、1時間座り続けると『立ち上がって少し歩くなど、体を動かす時間です』と通知してくれる」と説明している。また、「ウェアラブルデバイスを利用できない場合は、スマートフォンやパソコンにリマインダーを設定し、血流を促すために立ち上がって体を動かす時間であることを知らせるよう設定するとよい。妊婦への指導では『自分の身体の声を聞くこと』も伝えている。長時間座り続けて腰痛や不快感が生じた場合は、立ち上がって体を動かすべきサインである」と述べている。(HealthDay News 2026年6月5日) https://www.healthday.com/health-news/pregnancy/too-much-sitting-in-pregnancy-doubles-risk-of-complications Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock