

乳児期の早い段階に卵を与え始めることで、卵アレルギーの発症を減らせる可能性があることが、新たな研究で示された。この効果は、特に湿疹のある乳児で顕著であったという。クイーンズランド大学(オーストラリア)小児アレルギー学・疫学分野のJennifer Koplin氏らによるこの研究結果は、「JAMA Pediatrics」に6月8日掲載された。
卵アレルギーは、多くの国で幼児に最も多く認められるIgE介在性食物アレルギーである。研究グループによると、2016年に発表されたメタアナリシスでは、複数のランダム化比較試験の統合解析により、生後6カ月までに卵を導入した場合、それ以降に導入した場合と比べて卵アレルギー発症リスクが約44%低いことが示された(リスク比0.56)。この結果を受けて、複数の国・地域のアレルギー予防ガイドラインは生後6カ月頃からの卵の導入を推奨するようになったという。これは、「食物アレルギーの原因となる卵などの食物の摂取は1~3歳頃まで避けるべき」としてきた1990年代~2000年代初頭の考え方とは大きく異なる。
オーストラリアでは2016年にアレルギー予防ガイドラインが改訂され、卵を含む主要なアレルゲンを生後1年以内に導入することが推奨された。今回の研究では、このガイドライン改訂の前後で、卵アレルギーの有病率がどのように変化したのかが検討された。対象は、メルボルンの予防接種センターで12カ月時の予防接種を受けた月齢11~15カ月の乳児で、ガイドライン改訂前(2007~2011年)と改訂後(2018~2019年)に同一の方法で募集された。最終的に、改訂前コホート5,276人(月齢中央値12.4カ月、男児50.8%)と改訂後コホート1,933人(月齢中央値12.5カ月、男児51.8%)を解析対象とした。
卵の導入時期の中央値は、改訂前コホートで生後8カ月、改訂後コホートで生後6カ月であった。既知のアレルギーのリスク因子を調整して解析した結果、卵アレルギーの有病率は、改訂前コホートで9.2%であったのが、改訂後コホートでは7.6%に低下していた(調整絶対差−1.6パーセントポイント、95%信頼区間−3.3~−0.005)。このような有病率の低下は、特に乳児期早期に湿疹を発症した児で顕著であり、卵アレルギーの有病率は34.6%から21.9%へ低下していた(調整絶対差−12.7パーセントポイント、95%信頼区間−20.0~−5.4)。
Koplin氏は、「本研究結果は、卵の早期導入を推奨する乳児栄養ガイドラインの改訂が乳児における卵アレルギー有病率の明確な低下につながったことを示すエビデンスである」と結論付けている。さらに研究チームは、「ランダム化比較試験の結果に基づいて改訂されたガイドラインは、適切に実施されれば、食物アレルギーの有病率低下につながる可能性があることを示唆する結果でもある」との見方も示している。
本研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスのアレルギー・免疫学専門医であるGina Coscia氏はニュースリリースの中で、「免疫系に関して分かっていることは、アレルゲンが最初に皮膚を介して体内に入ると、体がアレルギー反応を起こすということだ。一方、食物アレルゲンが最初に口から摂取される場合には、そのアレルゲンに対して保護的な免疫応答が誘導される。これが、アレルギーを起こしやすい固形食品の早期導入が広く推奨されるようになった科学的根拠である。バリア機能が損なわれた皮膚に食物が接触する前に口から食物を摂取すれば、食物アレルギーを予防できる可能性がある」と説明している。
Coscia氏はまた、湿疹のある乳児でより大きな効果が見られたことは、この考え方をさらに裏付けるものだとしている。同氏は、「湿疹のある乳児は皮膚のバリア機能が低下しているため、食物アレルギーに対して特に脆弱であることが分かっている。このような乳児で食物アレルギー有病率の低下がより顕著に認められたことは極めて重要であり、アレルゲンの早期導入の重要性について、保護者への啓発をより強く後押しする根拠となる」と述べている。(HealthDay News 2026年6月9日)
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