飲酒をすると、ポテトチップスやナッツ類、フライドポテト、ピザなどのうま味のある食品を食べたくなることがあるが、それには生物学的な理由があるようだ。新たな研究で、アルコール摂取により誘導されると考えられているホルモンのFGF21(線維芽細胞増殖因子21)を介してうま味への選好が高まり、食事内容が変化する可能性が示された。研究グループは、うま味の強い超加工食品が豊富な食環境では、この作用が過食につながる可能性があると見ている。シドニー大学(オーストラリア)チャールズ・パーキンス・センターのAmanda Grech氏らによるこの研究は、「Obesity Reviews」に5月19日掲載された。FGF21は、タンパク質摂取量が少ない状況下では血中濃度が上昇し、タンパク質の摂取行動に影響することが示唆されている。FGF21はまた、甘味への嗜好を低下させる一方で、うま味への嗜好を高める作用を有する。研究グループによると、加工度の低い食品を中心とした伝統的な食生活では、体はうま味を肉などのタンパク質が豊富な食品と結び付けていた。しかし、うま味が高タンパクではない食品にも存在するようになった現代の食環境では、うま味とタンパク質のこのような対応関係が崩れている可能性があるという。そこでGrech氏らは、オーストラリアの全国健康調査参加者のうち、成人9,337人の食事データを用いて、食事摂取パターンと飲酒の関連を検討した。対象者の3,082人が調査当日に飲酒していたと回答した。解析の結果、飲酒は炭水化物エネルギー比率の低下、および甘味食品摂取量の減少と量依存的に関連する一方、うま味食品摂取量の増加と関連していた。うま味食品の摂取量は、飲酒者で276.1gであったのに対し、非飲酒者で235.6gであり、両群間の差は有意であった。また、うま味食品のうち、超加工食品や高脂肪肉の割合が高いほど食事全体のタンパク質/脂質比は低下することも示唆された。研究グループは、超加工食品のような人工的にうま味を付加した食品が、タンパク質を求める体の仕組みの中で、うま味は強いもののタンパク質含有量は低い食品を選ばせる「タンパク質のおとり(protein decoy)」として機能する可能性を示唆している。その結果、こうした食品の摂取量が増え、それに伴い、脂肪、炭水化物、総エネルギー摂取量が増加する可能性があるという。論文の上席著者であるチャールズ・パーキンス・センターのDavid Raubenheimer氏は、「アルコールとともにポテトチップスを食べたくなる、いわゆるアペリティフ効果や、楽しい夜遊びの締めくくりにピザを、あるいは翌朝にフルブレックファーストを食べたくなる現象は、アルコールが食欲、特にタンパク質に関する調節機構を変化させることによって生じている可能性がある」との見方を示す。さらに、「本研究は、食事中のタンパク質量が少ない場合、体はアルコールによって誘導されるタンパク質への欲求を満たすために、総摂取量を増加させることでそれを埋め合わせようとする可能性を示唆している。アルコールは、超加工食品のようなうま味を付加された低タンパク質食品が容易に入手できる環境では、過食に寄与する可能性がある」と述べている。一方、論文の共著者であるチャールズ・パーキンス・センター生命環境学分野のStephen Simpson氏は、「これらの結果は、アルコールが体重増加に及ぼす影響が人によって異なる理由の説明にもなる。アルコールは総エネルギー摂取量に対して異なる影響を及ぼし、その差は食事環境、特に未加工食品が中心か超加工食品が中心かによって左右される。これは単にアルコール自体のカロリーの問題ではない」と述べている。研究グループは、ビールやワインを飲む場合には、栄養密度の高いホールフードのスナックを手元に用意することを推奨している。Raubenheimer氏は、「飲酒する場合には、このホルモン相互作用を意識することが重要だ。ローストしたひよこ豆、スモークサーモン、赤身の冷製肉、エビやかきなどのタンパク質が豊富なホールフードを手元に用意することで、超加工食品へ手が伸びるのを防ぐことができる」とアドバイスしている。(HealthDay News 2026年6月8日) https://www.healthday.com/health-news/nutrition/why-alcohol-makes-you-crave-salty-snacks-and-how-protein-rich-foods-can-help-prevent-weight-gain Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock