自宅で血圧を測定するよう患者に促すことで、心血管イベントの発生リスクを低減できる可能性を示した新たな研究が報告された。家庭血圧を測定し、その結果を医師と共有した人では、急性冠症候群(ACS)、脳卒中、心不全による入院や死亡のリスクが約34%低かったという。英エディンバラ大学プライマリケアeヘルス分野名誉教授のBrian McKinstry氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal-Digital Health」に5月26日掲載された。McKinstry氏は、「本研究は、家庭血圧測定値の遠隔モニタリングが血圧を低下させるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞の発生も減少させることを示した、これまでで最も強力なエビデンスである」とニュースリリースで述べている。今回の研究では、2019年3月1日から2021年2月28日の間に第一選択の降圧薬を処方された高血圧患者45万4,180人を対象に、2022年3月1日まで追跡し、家庭血圧測定値の遠隔モニタリングと心血管アウトカムとの関連を評価した。心血管アウトカムは、ACS、脳卒中、コントロール不良の心不全による入院または死亡を対象とした。対象者のうち9,465人が「Connect Me BP」と呼ばれる遠隔モニタリングサービスを利用していた。このモニタリングサービスでは、患者に家庭血圧の測定を促すショートメッセージが送信され、その測定値が収集される。その後、毎週・毎月・3カ月ごとの測定値の報告書が主治医に送られ、必要に応じて医師が患者に連絡を取る仕組みとなっている。その結果、遠隔モニタリング群では開始から3カ月以内に血圧の低下が認められ、その効果は1年以上にわたって維持された。この遠隔モニタリングサービスを1年以上にわたり利用した患者と一度も利用しなかった患者(通常ケア群)を対象に、3年間の心血管イベントの発生率を比較したところ、ACSは遠隔モニタリング群で2.7%、通常ケア群で4.0%、心不全はそれぞれ1.1%と3.6%、脳卒中は1.4%と2.2%であった。年齢や性別、降圧薬数などの因子を一致させた遠隔モニタリング群5,297人、対照群18万7,232人を対象に解析した結果、遠隔モニタリング群でACS、脳卒中、心不全による入院または死亡のリスクが33.5%低く(調整オッズ比0.665、95%信頼区間0.501~0.884)、全死因死亡リスクも約40%低かった(同0.602、0.392~0.925)。論文の筆頭著者であるエディンバラ・ネピア大学のJanet Hanley氏は、「脳卒中、心筋梗塞、心不全は死亡や障害の主要な原因であり、そのリスクを低減できるのであれば大きな意義がある。血圧の遠隔モニタリングは、血圧コントロールの改善を支援することで、このリスク低減に役立つ。その上、このシステムには、簡便で使いやすいという利点もある」とニュースリリースで述べている。研究グループは今後、心血管リスクがより高い患者において、遠隔モニタリングによりさらに大きな利益が得られるのかを検証する必要があるとしている。英国心臓財団(BHF)の研究部門ディレクターであるJames Leiper氏は、「高血圧は心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める。高血圧と診断された患者は、治療が適切に行われていることを確認するため、綿密なモニタリングを受ける必要がある」と述べている。同氏はまた、「本研究は、自宅で定期的に血圧を測定し、その結果を医師に送信するとともに、測定を促す定期的なリマインダーを受けることが、血圧コントロールの改善に役立つ効率的なアプローチであることを示す新たなエビデンスである」と評価した。さらに同氏は、「今回の研究で示された、重篤な心血管イベントによる入院や死亡リスクの低下は心強い結果である。このような革新的なアプローチは、人々がより長く健康に生活することに貢献する可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2026年6月16日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/at-home-blood-pressure-monitoring-reduces-risk-of-heart-attack-stroke Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock