トゥレット症候群(TS)は、ときに冗談の対象として扱われることもあるが、当事者にとって極めて過酷な状態であることが、米トゥレット協会(TAA)が6月11日に公表した調査(2026 Impact Survey Report)で示唆された。この調査によると、TSまたはその他のチック症を有するティーンおよび成人の4人に1人が、生涯のどこかの時点で自殺を試みたことがあることが明らかになった。また、チック症を理由に差別を受けたと報告した割合も約7割に上った。TAA会長兼CEOであるIan Lang氏はニュースリリースの中で、「2026年の調査結果は、TSおよびその他のチック症を抱える人が必要とする支援を確実に受けられるようにするために、いかに多くの課題が依然として残されているかを示す行動喚起である」と述べている。チック症とは、本人の意思とは無関係に、まばたきや肩をすくめるなどの動作が突発的に繰り返される運動チックと、咳払いや発声などを伴う音声チックを特徴とする神経発達症である。TSは、複数の運動チックと1種類以上の音声チックの両方が1年以上にわたり続く場合に診断される。今回の研究では、2026年のImpact Surveyにおいてオンライン調査を完了した754人(成人455人、小児183人、ティーン116人)の回答が分析された。その結果、TSまたはその他のチック症を有する成人の71%、および小児の69%近くが、チック症を理由に差別を経験したと回答していた。精神面への影響も深刻で、当事者の約4人に1人が生涯のいずれかの時点で自殺を試みた経験があると回答しており、「自分が死ねば、自分も家族も楽になる」と感じた経験を持つ人も、成人で18%、ティーンで20%に上った。診断までの時間については、成人の84%と小児の76%は「症状の出現から診断まで1年以上を要した」と回答した。また、チックによる身体的負担も大きく、成人の82%、小児の69%が、チックに由来する痛みを経験していることが示された。さらに、家庭や経済面への負担も大きく、保護者の18%が子どものケアのために離職や転職、勤務時間の削減を余儀なくされていることや、28%がカウンセリングや通院、学習支援などの費用負担に困難を抱えていることを回答した。治療面では、ティーンの17%が症状管理のために5種類以上の薬を試した経験があり、成人の41%、ティーンの45%が、現在の治療薬ではチックが十分にコントロールされていないと回答した。2026年の初めに英国のアカデミー賞(BAFTA賞)授賞式で起きた出来事は、TSがいかに困難で深刻なものであるかを浮き彫りにした。TSの当事者であり、英国のインディペンデント映画『I Swear』の題材にもなったJohn Davidson氏が、壇上でプレゼンターを務めていた黒人俳優のMichael B. Jordan氏とDelroy Lindo氏に対してNワード(人種差別的な侮蔑語)を発したのだ。観客には事前にDavidson氏の症状について説明があったとされ、事後に司会者のAlan Cumming氏は理解を求め、発言によって不快感を与えた可能性について謝罪したとCNNは報じている。Davidson氏自身は、この出来事の後、式典を離れた。同氏は、「自分のチックが周囲に苦痛や困惑を与えていることを認識していたため、式の途中で会場を後にすることにした」と話した。Lang氏は、「スティグマ(偏見)、差別、経済的困難、そして必要なサービスへの限定的なアクセスが、いまだに非常に多くのTS患者にとっての現実である。人々が必要なケアを受け、当然受けるべき支援を得て、スティグマや差別から解放され、自分が望む人生を生きられるような仕組みを構築する時期はとうに過ぎている」と強調している。(HealthDay News 2026年6月12日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/tourette-patients-face-high-suicide-risk-pain-and-discrimination Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Tunatura -- Adobe Stock