プレハビリテーションは、術後の回復を促進する目的で術前に体力や健康状態を向上させる介入で、近年、外科医を中心とする医師の注目を集めている。こうした中、新たな研究で、脊椎固定術の前に4週間のプレハビリテーションプログラムを受けた75歳以上の患者では、術後90日以内の合併症リスクが18%低かったことが示された。首都医科大学(中国)附属宣武医院整形外科部長のShibao Lu氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に6月16日掲載された。Lu氏は、「本研究は、構造化された多面的プレハビリテーションが、高齢者における脊椎固定術後の合併症を減少させる上で有効な方法となり得ることを示した」と述べている。脊椎固定術では、不安定性などの問題が生じている椎骨の間に人工骨や患者自身の骨などを移植し、椎骨同士を癒合・固定して安定化させる。米国整形外科学会(AAOS)によれば、この手術は主に椎間板変性症や脊椎内の神経圧迫などによる腰背部痛の治療に用いられる。研究グループは、脊椎固定術自体は比較的リスクの低い手術とされているものの、「75歳以上の患者では、若年患者と比べて術後合併症および退院遅延のリスクがおよそ2倍に増加する」と指摘する。今回の研究では、中国の3つの病院で脊椎固定術を受ける75歳以上の患者164人を対象に、術前のプレハビリテーションプログラムおよび術後の回復強化プログラムを受ける群と、術後の回復強化プログラムのみを受ける群にランダムに割り付けた。プレハビリテーションプログラムでは、4週間にわたり、筋力トレーニング、バランス訓練、柔軟性向上運動、有酸素運動で構成された運動プログラムと、十分なカロリーおよびタンパク質の摂取を重視した食事指導が行われたほか、睡眠改善、疼痛管理、処方薬の適切な使用、心理的支援に関する介入も実施された。最終的に159人の患者(平均年齢78.7歳、女性59%)を対象に解析が行われた。その結果、術後90日以内に1つ以上の合併症が生じた患者の割合は、プレハビリテーション群で74.7%、術後回復強化プログラムのみの群で91.2%であり、プレハビリテーション群で有意なリスク低下が認められた(リスク比0.80、95%信頼区間0.67~0.95、リスク差−18.0%、95%信頼区間−27.0~−9.0%)。また、プレハビリテーション群の術後入院期間は平均12日であり、術後回復強化プログラムのみの群の14日より短かった。さらに、プレハビリテーション群では79人中68人が術後24時間以内に離床できたのに対し、術後回復強化プログラムのみの群では80人中55人であった。サブグループ解析では、プレハビリテーションの効果は、男性より女性で、初等教育または高等教育修了者より中等教育修了者で、さらに腰椎固定術のみを受けた患者で、腰椎固定術に加えてその他の手術を受けた患者より顕著な傾向が示された。ただし研究グループは、「栄養状態や運動習慣のベースラインには国や地域による違いがあり、入院期間や術前待機期間などの医療慣行も異なっている。そのため、本研究結果の適用性や他国での導入には慎重な検討が必要である」と述べている。(HeathDay News 2026年6月19日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/prehab-can-boost-seniors-recuperation-from-spinal-fusion-surgery-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock