MRIで評価した患者ごとの脳の機能的結合に基づいて刺激部位を決定する経頭蓋磁気刺激療法(TMS)により、標準的な治療法に反応しない治療抵抗性うつ病患者に対する治療効果が向上する可能性が、新たな研究で示された。論文の筆頭著者である米マス・ジェネラル・ブリガムCenter for Brain Circuit TherapeuticsのJoseph Taylor氏は、「今回の結果は、機能的MRI(fMRI)による脳画像を用いてTMSの刺激部位を決定することに臨床的な利点がある可能性を前向きに示したものである。TMSが臨床現場でより広く使用されるようになり、うつ病やその他の精神疾患の治療にこの治療法をいかに普及させるかが検討される中で、この知見は重要な意味を持つ」と述べている。この研究の詳細は、「JAMA Psychiatry」に6月24日掲載された。TMSは、磁気パルスを用いて脳活動を調節する非侵襲的な脳刺激療法で、2008年に成人うつ病患者に対する治療法として米食品医薬品局(FDA)の承認を受けて以来、治療抵抗性うつ病の治療に広く用いられている。TMSでは、頭皮上の指標に基づいて刺激部位を決定する方法が実践的で広く普及しているが、うつ病に関わる脳回路の個人差を考慮していない。そこで研究グループは、22〜80歳の治療抵抗性うつ病患者40人(平均年齢45.7歳、女性55%)を対象に、MRIで評価した脳の機能的結合に基づいて標的部位を決定することで、TMSの抗うつ効果が高まるかどうかを検証した。対象者は、安静時fMRIによる脳の機能的結合解析の結果に基づいて刺激部位を決定するfMRIに基づく群と、従来の頭皮上の指標を用いる対照群に、20人ずつランダムに割り付けられた。本研究で用いられたTMSは、通常は数週間かけて行う治療を約1週間に集中的に実施する加速型TMS(aTMS)であった。主要評価項目は、治療から1カ月後のモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale;MADRS)のスコアであった。その結果、治療から1カ月後のMADRSスコアの減少量は、fMRIに基づく群で24点であったのに対し、対照群は18点であり、fMRIに基づく群ではスコアの減少幅が有意に大きかった(P=0.02)。また、治療反応率と寛解率は、fMRIに基づく群で80%と65%であり、対照群の60%と50%を上回っていた。Taylor氏は、「脳画像研究によって脳に関する非常に多くの知見が得られてきた一方で、画像診断が患者の治療成績を直接改善することを示すことは容易ではなかった」と述べている。ただし研究グループは、今回の結果を確認するためには、より大規模な臨床試験が必要であるとしている。Taylor氏は、「MRIを用いた刺激部位の決定法は治療コストや手技の複雑さを増すため、エビデンスを確立することが重要だ。本研究の目的は、脳画像に基づく刺激部位の決定法が、従来の頭皮上の指標を用いる方法と比較して、どの程度治療効果を高めるかを評価することだった」と研究目的について述べている。(HealthDay News 2026年6月25日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/brain-scans-improve-targeting-of-magnetic-stimulation-for-depression Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: John/Adobe Stock