妊娠悪阻(hyperemesis gravidarum;HG)は母子双方の合併症リスクを高める可能性があることが、新たな研究で示された。HGは、早産や在胎週数に比べて小さい児(SGA児)などの有害妊娠転帰や貧血のリスク増加と関連し、このリスク増加は、妊娠第2トリメスター(妊娠13週以上27週未満)にHGにより入院した女性で高かったという。米スタンフォード大学医学部疫学・公衆衛生分野のRebecca Gardner氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Epidemiology」に6月16日掲載された。Gardner氏は同大学のニュースリリースで、「本研究で、HGは早産、貧血、SGA児、妊娠高血圧腎症、常位胎盤早期剥離のリスク上昇と関連していることが示された。HGによる入院は、その妊娠で種々の重篤な合併症が生じるリスクが高いことを示す重要なサインである」と述べている。HGは、妊婦の70~80%に見られる一般的なつわりとは異なる。Gardner氏はニュースリリースで、「HGは単なるひどいつわりではなく、脱水や著しい体重減少を引き起こすほど重症の状態だ」と説明している。研究グループによると、HGの妊婦は、十分な栄養を摂取できず著しい栄養不足に陥ることで胎盤の発達や機能に異常が生じ、特定の有害妊娠転帰のリスクを高めるとする仮説が立てられているという。今回の研究では、2007年から2011年の間に米カリフォルニア州で出生した約250万件の単胎出生を対象に解析が行われた。このうち2.2%(5万3,681件)では、母親がHGのために救急外来を受診または入院していた。交絡因子を調整して解析した結果、HGはさまざまな有害妊娠転帰のリスク増加と関連していた。調整相対リスクは、妊娠高血圧腎症で1.18(95%信頼区間1.13~1.23)、妊娠高血圧で1.15(同1.09~1.22)、早産で1.25(同1.22~1.29)、SGA児で1.19(同1.16~1.22)、常位胎盤早期剥離で1.14(同1.05~1.25)、貧血で1.37(同1.33~1.40)であった。さらに、このような有害妊娠転帰のリスク増加は、妊娠第2トリメスターにHGで初めて入院した女性で高いことも示された。Gardner氏は、「これまでの研究から、HGの妊婦では栄養摂取量が不足していることが分かっている。この状態は胎盤の発育に悪影響を与え、それが妊娠高血圧腎症やSGA児など、今回調べた一部の転帰のリスク上昇につながると考えられる」と述べている。研究グループは、今回の結果は2018年に策定された、妊娠中の悪心・嘔吐に対してより早期かつ積極的な治療を推奨する診療ガイドラインを支持するものだとの見方を示している。Gardner氏は、「今回のデータは、医師にとっては、HGで入院した妊婦では特定の合併症についてより慎重な経過観察が必要となる可能性を示すものだ」と述べている。さらに同氏は、「HGの妊婦でも、多くの場合、母子ともに良好な転帰が得られることを知ってほしい。それでも、HGを軽視してはならない。より頻回な経過観察や制吐薬の必要性を医師に相談し、自分自身のために積極的に声を上げることが大切だ。HGは我慢して乗り切るものではない」と呼びかけている。(HealthDay News 2026年6月25日) https://www.healthday.com/health-news/pregnancy/severe-pregnancy-nausea-tied-to-higher-risk-of-complications Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Konstantin Postumitenko -- Adobe Stock