新たな研究によると、高齢になった犬の歩き方に認知機能低下の早期兆候が現れる可能性があるようだ。犬の前肢の歩幅と脳の健康状態が関連していることが示唆されたという。米ノースカロライナ州立大学のNatasha Olby氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Veterinary Science」に6月25日掲載された。Olby氏はニュースリリースで、「今回の研究では、犬の前肢の歩幅は加齢に伴い狭くなること、さらに重要なこととして、認知機能障害に伴い狭まることが示された。実際、認知機能低下が歩幅に与える影響は、加齢そのものの影響よりも大きいことが分かった」と述べている。研究者らによると、認知機能障害と歩幅との関連はヒトでも見られる。高齢者の中には、記憶障害が明らかになる数年前から歩行速度が低下し、歩幅が狭くなったり、歩き方が不均一になったりする人がいるという。今回の研究でOlby氏らは、犬の脳の加齢に関する研究に参加したシニア犬88頭(試験登録時の平均年齢12.7歳、純血種63.6%)を対象に、体高で補正した歩幅と認知機能障害との関連を検討した。犬の認知機能は、飼い主が回答した犬認知症評価尺度(Canine Dementia Scale;CADES)を基に評価された。また、歩行速度と歩幅は、リードをゆるめた状態で室内の障害物がない真っ直ぐな5mの通路を犬が歩く様子を録画し、その動画から歩行速度と歩幅を測定した。集めたデータを解析した結果、前肢の相対的な歩幅は加齢に伴い有意に狭まった一方で、後肢の歩幅には同様の変化は認められなかった。また、CADESスコアは加齢に伴い上昇し、CADESスコアが10点高くなるごとに前肢の相対的な歩幅は1.2%狭くなることが示された。年齢や痛みの影響を統計学的に補正した後も、この関連は有意に維持された。こうした結果を受けてOlby氏は、「認知機能低下が前肢と後肢に異なる影響を及ぼすことは非常に興味深い」と述べている。同氏はさらに、「犬では、後肢は前進するための推進力として重要な役割を果たす一方、前肢は進行方向の変更や減速の開始にも関与している。大脳皮質は、前肢の歩行運動を生み出す神経回路により多くの感覚情報を統合している。そのため、高次の感覚運動統合機能が低下すると、前肢は後肢とは異なる影響を受けることになる」と説明している。この研究ではまた、前肢の歩幅の短縮は、疼痛指数の高値と関連することも示された。この点についてOlby氏は、「愛犬の前肢の歩幅が狭くなったと感じた際には、獣医師の診察を受けるべきだ。その背景には、治療可能な変形性関節症による痛みや頸部の疾患など、別の原因が存在する可能性がある」と助言している。同氏はまた、「認知機能低下と診断された場合でも、現時点では根治療法はないものの、生活環境や生活習慣への介入によって実施できる対策はいくつか存在する」と話している。(HealthDay News 2026年6月29日) https://www.healthday.com/health-news/pets/a-dogs-stride-could-be-an-early-sign-of-dementia-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: OLGA OVCHARENKO -- Adobe Stock