ビタミンAは、喘息を有する人の肺機能の改善に役立つ可能性がある。ビタミンAおよびビタミンDの肺機能に対する影響を検討した新たな研究で、血液中のビタミンA濃度が高いことは、喘息を有する小児と成人の双方において良好な肺機能と関連することが示された。一方、ビタミンDについては、効果が見られたのは成人の喘息患者のみであった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のMichael McGeachie氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に6月30日掲載された。ビタミンAおよびDは遺伝子発現を調節し、肺の発達に影響すると考えられている。喘息患者ではビタミンA欠乏症が多く見られ、これは気道の過敏性と関連していることが報告されている。一方、ビタミンD欠乏症は、特に喘息患者において肺機能の低下や喘息増悪、病状コントロールの悪化と関連することが示されているが、食事や年齢、日照時間などの因子の影響が研究間で異なるため、一貫した結果が得られていない。ビタミンAは、ニンジン、サツマイモ、ほうれん草などの野菜のほか、卵、牛乳、魚にも含まれている。ビタミンDは、主に日光によって体内で合成されるが、食品やサプリメントからも摂取できる。この研究でMcGeachie氏らは、ビタミンAおよびDと喘息患者の肺機能、生物学的老化、および遺伝子発現(マイクロ〔mi〕RNA、DNAメチル化)との関連を検討した。対象は、GACRS(Genetic Epidemiology of Asthma in Costa Rica Study)の小児コホート1,165人と、ODOLLFA(Omic Determinants of Longitudinal Lung Function in Asthma)の成人コホート1,041人であった。肺機能は、1秒量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、1秒率(FEV1/FVC)で評価した。FEV1は最大吸気後に思い切り息を吐き出したときの最初の1秒間の呼気量、FVCは最大吸気後に可能な限り吐き出せる総呼気量を示す。FEV1/FVCは気道閉塞の指標であり、一般に0.70未満の場合に閉塞性換気障害が示唆される。解析の結果、小児では血液中のビタミンA濃度が高いほどFEV1およびFVCは高値であった一方、FEV1/FVCは低値だった。ビタミンDと肺機能の指標との関連はいずれも統計学的に有意ではなかった。一方、成人では、いずれのビタミンもFEV1およびFVCと関連していたが、FEV1/FVCとの間に関連が認められたのはビタミンAのみであった。さらに、ビタミンDの充足は、成人では生物学的老化の進行が遅いことと関連していた。さらに、ビタミンAおよびDと遺伝子発現調節機構との関連も示された。解析から、両ビタミンの血中濃度と関連する複数のmiRNAが同定され、その標的遺伝子は炎症・免疫関連の経路に集積していた。また、DNAメチル化解析では、ビタミンAおよびDの血中濃度と関連するDNAメチル化部位が多数同定され、特に免疫制御に関与するIRF5遺伝子では、ビタミンAおよびD濃度が高いほどDNAメチル化が低い傾向が、小児・成人の両コホートで一貫して認められた。媒介解析では、miRNAやDNAメチル化がビタミンAおよびDと肺機能および生物学的老化との関連を媒介することが示された。研究グループは、「本研究は、ビタミン濃度と肺機能、さらにmiRNA発現やDNAメチル化といったエピジェネティック指標を、喘息の小児と成人の両方で統合的に解析した初めての研究である」と述べている。これらの結果は、食事が喘息コントロールの一つの手段となり得る可能性を示唆している。研究グループは、「栄養が遺伝子発現をどのように変化させるかというエピジェネティックな機構が、喘息におけるビタミンAおよびDの影響を媒介している可能性があり、個別化栄養や治療戦略の標的となり得る」と結論付けている。(HealthDay News 2026年7月1日) https://www.healthday.com/health-news/asthma/vitamins-might-be-key-to-asthma-control-in-children-adults Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock