朝のコーヒーの魅力は、カフェインによる目覚め効果だけではないかもしれない。新たな研究で、コーヒーの摂取量が多いほど、肝硬変、肝細胞がん、および肝疾患による死亡リスクが低いことが明らかになった。米シーダーズ・サイナイ医療センター肝がんプログラムのメディカルディレクターを務めるJu Dong Yang氏らによるこの研究結果は、7月1日付で「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に掲載された。Yang氏は、「今回の結果は、もともとコーヒーを好み、問題なく飲める人に対して、適度なコーヒー摂取を支持するものだ」と述べている。過去の研究で、コーヒーの摂取は肝疾患リスクの低下と関連することが報告されている。しかし、画像バイオマーカーやプロテオミクス、コーヒーの摂取状況を組み合わせて評価した大規模な前向き研究は限られている。この研究では、ベースライン時に肝硬変や肝細胞がんのなかったUKバイオバンク参加者35万4,957人のデータを用いて、コーヒー摂取と肝硬変、肝細胞がん、および肝疾患関連の死亡との関連を検討した。コーヒーの摂取量、種類(カフェイン入り、カフェインレス)、および添加物(砂糖、甘味料)は質問票によって評価した。また、MRI検査を受けたサブコホート(2万8,961人)については、肝脂肪量(プロトン密度脂肪分画〔PDFF〕)、肝鉄量、および線維化・炎症(鉄補正T1値)の評価を行い、さらに4万4,633人についてはプロテオーム解析も実施した。中央値13年間追跡した結果、コーヒー摂取量が多いほど肝疾患のリスクが段階的に低下することが示された。1日5杯以上摂取する人では、コーヒーを飲まない人と比べて、肝硬変のリスクが32%(ハザード比0.68、95%信頼区間〔CI〕0.58~0.79)、肝細胞がんのリスクが47%(ハザード比0.53、95%CI 0.34~0.83)、肝疾患による死亡リスクが42%(ハザード比0.58、95%CI 0.45~0.74)、それぞれ低かった。コーヒー摂取とリスク低下との関連は、カフェイン入りかカフェインレスかを問わず認められた。また、砂糖や人工甘味料を加えて摂取している場合でもリスク低下との関連は維持されたが、これらの使用は鉄補正T1値のわずかな上昇と関連していた。MRI解析では、コーヒーの摂取量が多い人ほど、肝脂肪量と肝内鉄量が少なく、鉄補正T1値も低かった。一方、プロテオーム解析からは、コーヒーの摂取量が多い人ほど、肝細胞で産生されるタンパク質や補体系に関連するタンパク質のレベルが高くなる一方、線維化およびマクロファージ活性化に関連するマーカーのレベルは低かった。ただし研究グループは、「これらの結果は1日に5杯以上のコーヒーを飲むことを推奨するものではない」と強調し、1日1~2杯でもリスク低下との関連が認められ、3~4杯でリスク低下との関連が最も強くなる傾向が見られたとしている。さらに、カフェインレスコーヒーでも肝臓の健康との関連が認められたことから、カフェイン以外の成分が作用している可能性があることに言及している。Yang氏らは、さらなる研究が必要としながらも、「コーヒーの摂取は、運動、適正体重の維持、飲酒量の抑制といった健康的な生活習慣を補完する可能性がある」との見方を示している。共著者の1人であるシーダーズ・サイナイ医療センター消化器・肝臓部門のShelly Lu氏は、「次の研究では、コーヒーに含まれる化合物のうち何が肝臓の保護作用に関与しているのかを特定したいと考えている。今回の結果は、炎症や線維化に関わる生物学的経路を示すとともに、コーヒーがどのように肝臓の健康に影響を及ぼすのか、また、どのような人が最も恩恵を受けるのかを理解するために、今後の研究で検討すべき分子標的を示している」と述べている。(HealthDay News 2026年7月8日) URLhttps://www.healthday.com/health-news/liver-health/drinking-coffee-may-lower-your-risk-of-liver-diseasexx Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock