がんによる死亡率は女性よりも男性の方が高いが、その理由の一端を説明し得る新たな研究結果が報告された。同研究によると、男性は女性と比べてがんが最初に発生した部位(原発巣)から近傍のリンパ節や他臓器へ広がった段階でがんと診断される可能性が高いことが明らかになったという。この研究は、米国立がん研究所(NCI)のBeth Maclin氏らによるもので、詳細は「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」7月号に掲載された。この結果は、男性ではがんの発見が遅れ、治療がより困難で死亡につながりやすい段階で診断されることを意味していると研究グループは指摘している。論文によると、米国における2019~2023年の人口10万人当たりのがん死亡者数は男性が約172人、女性が約126人であった。論文の筆頭著者であるMaclin氏はニュースリリースの中で、「全体として、男性は女性よりも多くの種類のがんで死亡することが知られている。また、診断時のがんの進行度が生存率を左右する重要な予測因子であることも明らかにされている」と説明している。一般に、診断時の病期が進行しているほど、予後は悪くなる傾向があるという。その上で同氏は、「診断時の病期に男女差があるかどうかを詳しく調べることは、がん死亡率の男女差を理解するとともに、全ての患者の生存率向上につながる対策を見出す上で重要だ」と話している。この研究では、2015~2022年にNCIのデータベースに登録された240万1,772例のがん症例が解析された。解析では、がんを、1)原発巣にとどまる「限局がん」、2)近くのリンパ節への転移を伴う「領域がん」、3)別の臓器への転移を伴う「遠隔転移がん」の3段階に分類した。その結果、女性と比べて男性では16種類のがんで、限局がんではなく領域がんとして診断される可能性が高いことが示された。例えば、舌がんで151%、唾液腺がんで93%、口腔・咽頭がんで80%、甲状腺がんで74%、胃がんで67%高いことが示された。また、男性では女性と比べて17種類のがんで、限局がんではなく遠隔転移がんとして診断される可能性が高いことも示された。例えば、舌がんで134%、甲状腺がんで128%、唾液腺がんで97%、胃がんで56%、メラノーマで50%高いことが示された。一方、喉頭がん、膀胱がん、肛門がん、肝がんでは、女性と比べて男性では進行した段階で診断される可能性が低いことが示された。Maclin氏は、「今回調べたがん種の多くで男女差が認められた要因については、さまざまな可能性が考えられる」と指摘。その上で、「検診によって発見可能ながんに関しては、がん検診の受診率の違いが影響した可能性がある」との見方を示している。また、「男女で受診行動に違いがあることも要因の一つとなっている可能性がある。これまでの研究では、男性よりも女性の方が医療機関を受診する頻度が高いことが示されている。したがって、女性では医師によってがんの症状が早い段階で見つかる機会が多く、領域がんや遠隔転移がんになる前の限局がんの段階で診断されやすい可能性がある」と説明している。さらに、Maclin氏は、「医師のがんの症状の捉え方が男女で異なる可能性もある。そのために検査や治療方針にも違いが生まれ、がん診断が早まる場合もあれば遅れる場合もあり得る」と付け加えている。いずれにしても、定期的に医療機関を受診し、治療しやすい早期の段階でがんを発見することが最も重要であるとMaclin氏は強調している。同氏は、「私から伝えたい最も重要なメッセージは、『誰もが定期的に医師の診察を受けるべきである』ということだ。自分の体に何らかの変化を感じたら、受診を先延ばしにしないでほしい」と呼びかけている。(HealthDay News 2026年7月8日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/men-more-likely-to-be-diagnosed-with-advanced-cancer Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock