AIが故人を再現する時代は、すでに現実になっている。HereAfter AI、Project December、Séance AIなどのサービスでは、故人の写真やテキストメッセージなどのデータをもとに、遺族や親しい人が故人と対話できる「デジタルゴースト(AIゴースト)」を作り出している。こうした技術は、遺族の悲しみを和らげるのに役立つのだろうか。それとも、テレビドラマ『ブラック・ミラー』に描かれるようなディストピア的な世界を思わせる、人々に害をもたらす技術なのだろうか。この疑問を明らかにしようと、米コロラド大学ボルダー校の研究グループが実施した調査の結果が、国際会議「Designing Interactive Systems 2026」(DIS '26、6月13~17日、シンガポール)で発表され、その論文は同会議の論文集に6月12日付で掲載された。論文の上席著者である同校情報科学分野のJed R. Brubaker氏は、「われわれが知る限り、デジタルゴーストの利用者の体験を調査した研究は、今回が初めてだ」と述べている。こうしたデジタルゴーストは年々高度化しており、中には仮想現実(VR)空間内に故人の姿を再現し、遺族が故人と歩きながら会話をしているかのような体験ができるものも登場している。今回の研究では、22~50歳の16人のボランティアが参加した。全員が、家族や親しい友人を亡くした経験があり、悲嘆を抱えていた。研究グループは、参加者から提供された故人に関する情報を基に、2種類のデジタルゴーストを作成した。一方は「彼女は、あなたと一緒に海へ行くのが好きでした」のように故人について三人称で語る「再現(representation)」と呼ばれるタイプ、もう一方は「私はあなたと一緒に海へ行くのが大好きだった」のように一人称で話す「生まれ変わり(reincarnation)」と呼ばれるタイプだった。参加者はZoomを通じて20分間、それぞれのデジタルゴーストと対話した。その結果、参加者は、「再現」タイプよりも、「生まれ変わり」タイプを好む傾向を示した。5年前に亡くなった祖母のデジタルゴーストとテキストで会話した32歳の女性は、「祖母がそこにいるかのような気がする。存在を感じる。ようやく心の整理がついた気がする」と語った。また、50歳の女性は、故人のデジタルゴーストに、「本当に強く心を揺さぶられる体験だった。また会いに来てほしい」とメッセージを送った。さらに、参加者は、故人からのメッセージは、AIが時折生成する長い文章よりも、絵文字を交えた短いメッセージの方が自然だと感じる傾向があった。その一方で、AIのハルシネーション(事実とは異なる情報を生成する現象)によって、故人らしくない発言をするというような、デジタルならではの不具合が問題になることもあった。あるケースでは、継父のデジタルゴーストと会話していた男性が、ゴーストから「champ(チャンプ;主に年長者が使う親しい相手への愛称)」と呼びかけられた。生前の継父が決して使わなかった言葉を使ったため、男性は強い違和感を覚え、セッションを途中でやめようと思うほど動揺したという。それでも、最終的には全ての参加者が、「デジタルゴーストをまた利用したい」と回答した。筆頭著者で小児期に心臓病で妹を亡くした経験を持つコロラド大学ボルダー校のJack Manning氏は、場合によってはデジタルゴーストが悪影響を及ぼす可能性も懸念している。同氏は、「11歳だった頃の自分のことをよく考える。もし当時、ChatGPTのようなものがあって、それが、夜遅くに大人の見守りがない状況下で妹として応答し始めたら……。それはとても恐ろしいことだ。だが、この研究を通じて分かったのは、それが人によっては非常に大きな意味を持つ体験となり、悲しみに区切りをつけたり、心の平穏を得たりする助けにもなり得るということだ」と話している。(HealthDay News 2026年7月15日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/ai-can-create-ghosts-of-lost-loved-ones-but-would-you-want-to-meet-them Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock