アルツハイマー病のバイオマーカーであるp-tau217の血中濃度が高いほど、認知機能が正常な人でも将来的に認知障害を発症するリスクが高まることが、新たな研究で示された。米マス・ジェネラル・ブリガム神経科学研究所のRachel Buckley氏らによる研究で、詳細は7月14日付で「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に掲載された。論文の筆頭著者であるBuckley氏は、「本研究は、p-tau217が認知障害のリスクについて何を示し得るのかをより深く理解するための重要な一歩である。本研究を特に際立たせている点は、個々人の認知障害リスクを推定できることだ」と述べている。この研究では、北米、日本、およびオーストラリアで実施された6件の観察研究および臨床試験の参加者2,684人(年齢中央値69.6歳、女性63%)のデータを解析し、血漿中のp-tau217濃度に基づいて、認知障害へ進行する絶対リスクと認知機能低下の進行速度を推定した。参加者の研究開始時の認知機能は正常であった。追跡期間中央値は5.4年、最長13.5年で、この間に478人が認知障害へ進行した。解析の結果、ベースライン時のp-tau217濃度が1標準偏差(SD)上昇するごとに、認知障害へ進行するリスクは38%上昇した(ハザード比1.38、95%信頼区間1.30~1.46)。また、ベースライン時のp-tau217濃度が高値(平均より1.1~2.4 SD高い)および非常に高値(2.5 SD超)だった参加者では、5年間で認知障害へ進行する絶対リスクがそれぞれ24%、38%であった。10年間では、それぞれ62%、78%とさらに高かった。ただし研究グループは、長期追跡データが限られていたことから、10年間の推定値については慎重な解釈を求めている。論文の責任著者であるマス・ジェネラル・ブリガム神経科学研究所のReisa Sperling氏は、「アルツハイマー病型認知症の発症リスクが高いと判明した人に対する疾患修飾療法はまだ確立されていない。そのため、無症状の人には、現在利用可能な血液検査を受けることは推奨されていない。また、検査を受けた場合でも、結果にかかわらず、現時点での医学的アドバイスは変わらず、定期的な運動、健康的な食事、そして十分な睡眠と全体的な健康を優先することだ。しかし、臨床試験で疾患修飾療法の有効性が証明されれば、予防医療の状況は急速に変化する可能性がある。将来的には、このような検査によって、そうした治療の恩恵を最も受ける可能性がある人を特定できるようになるかもしれない」と語っている。研究グループは、今後はより多様な集団を対象に、より長期間の追跡調査を行うことで、今回の知見の妥当性を確認するとともに、予測精度の向上を図る予定である。(HealthDay News 2026年7月15日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/blood-test-may-predict-alzheimers-risk-up-to-10-years-before-symptoms-begin Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock