マダニに咬まれることで発症する肉アレルギーとして知られるα-Gal(アルファガル)症候群に関連する抗体を持つ米国人は、これまで考えられていたよりもはるかに多い可能性が、新たな研究で示された。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校感染症分野のEleanor Saunders氏らが7月2日付で「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」に報告した研究によると、α-gal IgE抗体陽性率が高い5州では、成人の約4人に1人がこの抗体を保有していることが判明したという。研究グループは、「これらの結果は、α-galに対する抗体を保有していても、必ずしもα-Gal症候群を発症するわけではないことを示している」との見解を示している。α-galは糖鎖の一種で、多くの哺乳類の細胞表面に存在する。マダニに咬まれると、マダニの唾液などを介してα-gal関連物質に曝露され、免疫系がα-galに反応するようになる。その後、牛肉や豚肉、羊肉などを摂取すると、免疫系がそこに含まれるα-galを異物として認識し、アレルギー反応を起こすことがある。これがα-Gal症候群である。その症状は、じんましん、腫れ、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などで、生命を脅かすアナフィラキシーショックを引き起こすこともある。Saunders氏らは、米国成人におけるα-galに対するIgE抗体の保有状況を調べるため、2024年11月14日から2025年4月9日にかけて、10州の献血者から採取された3,000件の血液サンプルを解析した。その結果、α-galに対するIgE抗体の推定陽性率は、ワシントン州の1.1%からアーカンソー州の31.2%まで大きな幅があった。抗体陽性率が最も高かった5州(アーカンソー州、ケンタッキー州、ミズーリ州、テネシー州、バージニア州)では、約4人に1人(24.0%)がα-gal IgE抗体検査で陽性になると推定された。また、α-gal IgE抗体陽性率は、16~34歳の若年層より55~64歳で高く、女性より男性で高い傾向が認められた。さらに、郡の人口密度が10倍になるごとに、16歳以上の住民のα-gal IgE抗体陽性率は29.5%低下した。米国では、2022年時点で、α-Gal症候群の患者数は最大45万人と推定されていた。この推定に対し研究グループは、「今回の研究結果は、実際にはさらに多くの人がマダニに咬まれてα-galに対する抗体を獲得しているものの、症候群の発症には至っていない可能性があることを示している」と述べている。またSaunders氏は、「多くの人はα-galに感作(抗原に対して免疫反応を示す状態)され、抗体が検出される状態になっていても症状が現れない可能性がある」とニュースリリースでコメントしている。研究グループは、血液検査の結果だけで判断すると、α-Gal症候群を過剰診断する可能性があると指摘している。Saunders氏は、「α-Gal症候群の診断には、症状と一致する臨床歴と、検査による証拠の両方が必要だ」と述べている。研究グループは、α-gal IgE抗体保有者のうち、実際にα-Gal症候群を発症する人の割合や、発症しやすい人の特徴を明らかにするには、さらなる研究が必要だとしている。Saunders氏は、「献血者の抗体陽性率データは、α-galへの曝露がどこで起きているのかを把握する上で貴重な情報となる。今回の知見は、リスクが高い地域社会において、監視体制の構築、予防策、医療従事者への教育を重点的に進める地理的に絞ったアプローチを支持するものだ」と話している。(HealthDay News 2026年7月22日) https://www.healthday.com/health-news/allergies/tick-borne-meat-allergy-many-carry-alpha-gal-antibodies-without-symptoms Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Yuriy T -- Adobe Stock