腰痛に悩んでいる人は、プールで何往復か泳ぐことで症状が和らぐかもしれない。8週間の個別化水泳プログラムにより、腰痛患者の身体機能が改善し、痛みについても一定の改善傾向が見られたことが、新たな研究で示された。マッコーリー大学(オーストラリア)のDeborah Wareham氏らによるこの研究結果は、7月21日付で「British Journal of Sports Medicine」に掲載された。Wareham氏は、「慢性腰痛のある人に対して水泳はよく勧められているが、これまで効果を裏付ける十分なエビデンスがなかった。そこでわれわれは、慢性腰痛に対する水泳の有効性を明らかにするため、研究を行う必要があると考えた」と研究背景について説明している。この臨床試験では、3カ月以上にわたる慢性の非特異的腰痛を有する成人76人(平均年齢41歳、女性85%)を対象に、水泳による介入の効果を検討した。試験参加者は、教育プログラムに加え水泳プログラムを受ける群(39人)と、教育プログラムのみを受ける対照群(37人)にランダムに割り付けられた。介入群は、8週間にわたり、理学療法士による4回のオンライン指導のもと、個別化水泳プログラムと腰痛に関する教育を受けた。Wareham氏によると、参加者は、普段から水泳をしていたわけではなかったが、25 m泳ぐことができ、水中で運動を行うことに抵抗はなかったという。一方、対照群は、最大2回の理学療法士によるオンライン指導を受け、介入群と同じ腰痛に関する教育を受けた。この教育では、「痛みは、必ずしも体にとって有害であることを意味するわけではない」「腰は動かすことを前提とした構造になっている」「症状の一時的な悪化は起こり得る」「最も重要な対処法は動き続けることである」といった考え方が伝えられた。その結果、広く使用されている身体障害評価尺度であるローランド・モリス障害質問票(Roland Morris Disability Questionnaire;RMDQ)で評価した8週間後の腰痛による機能障害は、介入群で対照群と比べて有意に改善した。具体的には、8週間後のRMDQスコアは、介入群で5.56点、対照群で8.05点であり、スコアの平均差は−2.5(95%信頼区間−4.5~−0.5)だった。ただし、この群間差は経時的に縮小していき、52週間後には維持されていなかった。痛みについても、介入群ではわずかな改善が認められたが、その改善幅は臨床的に意味のある水準に達していなかった可能性がある。その他、患者自身が評価する機能制限、痛みに対する自己効力感、運動への恐怖感、全般的な改善度などについても、介入群では早期に良好な傾向が見られたが、その差は時間の経過とともに縮小した。Wareham氏は、「教育のみを受けた対照群と比べ、介入群のRMDQスコアは約30%低かった。今回の研究で確認された改善効果は、最近のメタ解析で報告されたピラティスなど他の運動療法の効果と比べても遜色がない」と話している。一方、論文の上席著者であるマッコーリー大学脊椎痛研究センターのMark Hancock氏は、「腰痛に対して水泳が有効だという考えには合理性があるが、実際に検証することが重要だった。水泳は、関節可動域や筋力、全身の有酸素能力を向上させる可能性がある。また、水の浮力によって、陸上では痛みや制限があって難しい動きも行いやすくなる。重要なのは、参加者から、水泳によって運動への自信がつき、他の意味のある身体活動にも取り組めるようになったという声が聞かれたことだ」と述べている。なお、研究グループによると、研究終了後も水泳を続けた参加者がいた一方で、別の種類の運動へ移行した人もいたという。Hancock氏は、「この研究で、腰痛がある人に水泳を勧める根拠が得られた。水泳は腰痛を抱える人に適した運動であり、実際に有用である」と結論付けている。(HealthDay News 2026年7月24日) https://www.healthday.com/health-news/pain-management/back-pain-try-swimming-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Phuttharak -- Adobe Stock