子どもの言語学習では、話しかける際に目を合わせること(アイコンタクト)が重要である——新たな研究で、このような可能性が示唆された。アイコンタクトは、話し手と乳児の脳活動の同期に関与し、乳児はアイコンタクトを手がかりに重要な情報を選択していることが、英ケンブリッジ大学のVictoria Leong氏らによる研究で明らかになった。この研究の詳細は、7月22日付で「Nature Communications」に掲載された。Leong氏は、「親は、アイコンタクトや子どもの名前を呼ぶことなどの社会的な手がかりを使う必要性を意識しなければならない。こうした手がかりは、単に子どもの注意を向けさせるだけではなく、学習プロセスそのものを活性化させるからだ」と述べている。Leong氏らの過去の研究では、乳児と大人がアイコンタクトを取ると、双方の脳活動の同期が見られることが示されていた。しかし、こうした社会的手がかりが、乳児の学習において情報選択の「ゲート」として機能する神経メカニズムについては、明らかになっていなかった。そこで研究グループは、シンガポールと英国で平均月齢9.4カ月の乳児47人を対象に実験を行い、アイコンタクトの有無で学習のしやすさや話者との脳活動パターンの同期が変わるかを調べた。実験では、順応フェーズとして、成人の話者が、3種類の異なる人工言語を話す動画を乳児に見せた。人工言語は、それぞれ12種類の音節から構成され、3つの音節からなる4種類の単語(例:「pe-tu-do」)が含まれていた。研究グループは、これらの人工言語を、1)話者の視線が見える、2)視線が不明瞭、3)視線が見えない、の3条件で提示した。なお、この動画を録画する際に、話者の脳波も測定された。次の検証フェーズでは、人工言語を構成する「単語」と、単語の境界をまたいで音節を組み合わせた「非単語」を乳児に提示し、単語と非単語への注視時間の差から学習効果を評価した。研究グループは、乳児が人工言語の規則を学習していれば、既知の単語よりも未知の「非単語」を長く見ると予想した。乳児の人工言語学習の程度が高いほど、話者と乳児の脳活動の同期(神経カップリング)が強く、その同期の程度は乳児の人工言語の学習成績を予測する上で、乳児自身の脳活動よりも有用であることが示された。ただし、そのような強い神経カップリングが見られたのは、乳児が話者の視線を完全に見ることができる条件に限られていた。Leong氏は、「乳児には3種類の言語を聞かせたが、実際に学習した言語は選択的であった。乳児は、単なる受動的な情報吸収者ではない。3種類の言語を全て聞いたが、学習したのは話者の目を見ることができた条件下で提示された言語だけだった」と述べている。また、脳活動の同期の程度は、学習を予測する上では、実験中に乳児が示した個々の脳活動よりも重要であった。論文の共著者であるケンブリッジ大学心理学科のKaili Clackson氏は、「乳児がスクリーンを注意深く見つめているように見えても、アイコンタクトがなければ、学習すべき情報として選択されにくかった。脳活動の同期は、情報が選択的に取り込まれていることを示している」とニュースリリースで述べている。この現象は、ケンブリッジとシンガポールの両方で確認されており、特定の文化に固有のものではなく、文化を超えて共通する特徴である可能性が示唆された。ただし、注意を向ける必要性を伝える社会的な手がかりは、アイコンタクトだけではない。笑顔を見せること、指差し、乳児の名前を呼ぶことなども、その役割を果たし得ると研究グループは述べている。このような手がかりは、子どもと大人のアイコンタクトがあまり重視されない、あるいは好ましくないとされる文化では、言語発達においてより重要な役割を果たす可能性があるという。Clackson氏は、「こうした手がかりは非常に強力だ。新しい情報を伝える前にこのような手がかりを取り入れることで、『これは大事なことだから、しっかり聞いてね』というメッセージを乳児に伝えることができる」と述べている。(HealthDay News 2026年7月29日) https://www.healthday.com/health-news/child-health/talking-to-your-baby-eye-contact-is-key-to-language-development-experiment-shows Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock