親が離婚した子どもは、親が婚姻関係を維持していた子どもと比べて成人期にうつ病と診断されるオッズが41%高いことが、7月29日付で「Psychiatry Research」に掲載された論文で示された。ただし、親の精神疾患や物質使用を考慮すると、この関連は大幅に弱まったという。論文の筆頭著者であるティンデール神学大学(カナダ)心理学分野のMary Kate Schilke氏は、「親の離婚そのものが子どもの将来のうつ病リスクを高めると考える人もいるだろう。しかし今回の研究結果は、ことはそれほど単純ではない可能性を示している。離婚に伴いしばしば生じる家庭内の問題、特に親の精神疾患や物質使用は、子どもの長期的なうつ病リスクを説明する上で離婚そのものよりも重要な因子と考えられる」と述べている。今回の研究では、州保健局と米疾病管理予防センター(CDC)が実施する横断調査である行動リスク要因監視システム(Behavioral Risk Factor Surveillance System;BRFSS)の公開データ(2021~2024年)を用いて、小児期に虐待を経験していない12万8,264人を対象に、親の離婚と成人期のうつ病や精神的苦痛との関連を検討した。対象者の72.5%は親が婚姻関係を維持しており、25.8%は親が離婚しており、1.7%は親が一度も結婚していなかった。対象者の15.5%は生涯のどこかの時点でうつ病の診断を受けており、11.4%は過去1カ月間に頻繁な精神的苦痛(frequent mental distress;FMD)があったと報告した。解析の結果、親が離婚した群では親が婚姻関係を維持していた群と比べて、生涯のどこかの時点でうつ病の診断を受けるオッズが41%高かった(オッズ比1.41、95%信頼区間〔CI〕1.32~1.51)。ただし、親の精神疾患や物質使用を考慮すると関連は弱まり、オッズ比はそれぞれ1.13(95%CI 1.05~1.21)、1.21(95%CI 1.13~1.30)となった。さらに、両方の要因を同時に考慮すると、うつ病診断との関連は統計学的に有意ではなくなった。過去1カ月のFMDとの関連についても、親が離婚した群では親が婚姻関係を維持していた群と比べて、FMDのオッズが55%高かった(オッズ比1.55、95%CI 1.43~1.67)。ただし、うつ病の診断と同様、親の精神疾患や物質使用を考慮すると関連は弱まり、オッズ比はそれぞれ1.32(95%CI 1.21~1.43)、1.36(95%CI 1.26~1.48)となった。両方の要因を同時に考慮した場合でも、FMDとの関連は有意なままであった(オッズ比1.24、95%CI 1.14~1.34)。また、親が一度も結婚していなかった群では、親が婚姻関係を維持していた群と比べて、生涯のうつ病診断のオッズが31%高かった(オッズ比1.31、95%CI 1.06~1.62)。しかし、親の精神疾患や物質使用などを考慮すると関連は弱まり、統計学的に有意ではなくなった。過去1カ月間のFMDについても、親が一度も結婚していなかった群では、親が婚姻関係を維持していた群と比べてFMDのオッズが92%高かった(オッズ比1.92、95%CI 1.52~2.44)。論文の共著者である米テキサス大学アーリントン校ソーシャルワーク学部のPhilip Baiden氏は、「精神疾患や物質使用障害に苦しむ親を支援することは、子どもの長期的な健康を改善する最も効果的な方法の一つかもしれない。今回の研究結果は、家族が利用しやすい精神保健サービスや物質使用に関する支援サービスの重要性を浮き彫りにしている」と述べている。一方、論文の共著者であるトロント大学ソーシャルワーク学部のEsme Fuller-Thomson氏は、「今回の研究は、子どもの将来の精神的健康に影響を及ぼすのは、親の婚姻状況そのものよりも、成長過程でどのような問題を経験したかであることを示唆している。親の精神疾患や物質使用を減らすための取り組みは、親自身にとどまらず、子どもの精神的健康にも恩恵をもたらし、世代を超えて精神的健康の改善につながる可能性がある」と話している。(HealthDay News 2026年8月3日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/does-childhood-divorce-increase-kids-risk-of-adult-depression-or-is-it-other-parental-problemss Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: lev dolgachov -- Adobe Stock