Sally Osmerさんは、最先端のアルツハイマー病治療薬レカネマブ(商品名:レケンビ)による治療を受ける機会があることを知り、迷わず受け入れた。Osmerさんはアルツハイマー病の家族歴があり、74歳のときに早期アルツハイマー病と診断された。診断当初、彼女は特に症状を自覚していなかったが、画像検査と遺伝子検査から診断が確定したという。Osmerさんは、「アルツハイマー病と診断されたときは、とてもショックを受けた。体は健康なのに脳はゆっくりと衰えていくと考えると、とても怖い。ただ、早期に発見できたのは幸運だったし、治療を開始できたことも嬉しく思っている」と話している。実臨床でレカネマブによる治療を受けた患者を追跡した新たな研究で、同薬の使用によるアミロイド関連画像異常(amyloid-related imaging abnormalities;ARIA)の発生時期や発生頻度、有害事象の発生頻度は臨床試験とおおむね同様で、ARIAの有無による認知機能の変化にも有意差は認められなかったことが示された。Osmerさんも、そうした患者の1人である。専門家の間では、レカネマブによる治療に伴い、脳の腫れや出血を引き起こすのではないかと懸念する声もあった。研究グループは、「今回の実臨床で得られた結果から、この薬の安全性と有効性は臨床試験の結果とほぼ一致することが示された」と結論付けている。米デューク大学医学部神経学・病理学分野のAndrew Liu氏らによるこの研究結果は、8月7日付で「Neurology Open Access」に掲載された。レカネマブの実臨床での使用が進み、その経験も複数報告されているが、ARIAの発生時期や重症度、患者背景による発生リスク、認知機能への影響などについては十分に明らかになっていない。Liu氏らは今回、2023年5月から2025年6月にかけてデューク大学でレカネマブによる治療を受けた患者のデータを後ろ向きに解析し、ARIAの発生とその経過、重篤な有害事象および死亡の発生状況を調べるとともに、認知機能への影響とその発生予測因子についても評価した。対象患者は230人(平均年齢73.6歳、女性50.9%)で、このうち68%は軽度認知障害(MCI)であり、67.4%はアポリポタンパク質E ε4アレル(APOE ε4)の保有者だった。追跡期間の平均は396日で、その間に49人(21%)が治療を中止した。また、56人(24.3%)にARIAが認められた。ARIA-E(浮腫/滲出液貯留)とARIA-MH(微小出血)は治療開始の約10週後に発生のピークがあり、また中等度から重度のARIAは治療開始の12〜24週後に認められた。臨床的に重要な有害事象は72人(31.3%)に発生し、5人が死亡した。このうち2人の死亡はARIAに関連していた。12カ月間の認知機能の変化は、ARIAあり群となし群の間で有意差はなかったが、対象者全体で、MoCA(モントリオール認知評価)スコアは1カ月当たり0.107点低下していた。ARIA-Eの発生リスクは、APOE ε4非保有者と比べてAPOE ε4保有者で高く、特にε4を2コピー持つ患者ではオッズ比が4.81(P=0.014)に達した。また、男性でもリスクが高い傾向が見られたが、統計学的に有意ではなかった(オッズ比2.40、P=0.075)。Osmerさんはレカネマブによる治療を1年以上受けているが、重篤な副作用は経験していない。Osmerさんは、「今の生活や将来について多くの不安を抱えてきたが、レカネマブによる治療を受けていることで、間違いなく希望を感じられるようになった。これまでアルツハイマー病について想定されていたよりも良い未来が待っているのではないかと思える」と話し、治療により日々の生活に大きな安心感を得ていることを報告している。Liu氏は、「われわれが明らかにしたのは、実臨床においても、患者を慎重に選び、綿密にモニタリングすれば、約80%の患者が少なくとも1年間はレカネマブによる治療を継続できるということだ。重要なのは、治療に関連する副作用の大半は時間の経過とともに改善し、追加の薬剤投与や入院を必要としないことである」とニュースリリースで述べている。研究グループは現在、ARIAに関連する脳画像上のわずかな変化をより早期にかつ一貫して検出することを目的としたAI画像解析ツールの開発に取り組んでいる。(HealthDay News 2026年8月11日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/real-world-performance-of-alzheimers-drug-matches-trial-data-study-findss Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Yuri Arcurs peopleimages.com -- Adobe Stock