動物との触れ合いがもたらす有益な作用を人間の心身の健康状態の向上に活用しようとする動物介在療法(AAT)は、脳卒中のリハビリテーション(以下、リハビリ)にも有効かもしれない。新たな研究で、最近脳卒中を発症した患者のリハビリでは、セラピードッグを取り入れることで患者のリハビリ参加度が高まり、身体活動量も増えたことが示された。米メイヨー・クリニック動物介在療法サービスマネジャーのWhitney Romine氏らによるこの研究結果は、「Mayo Clinic Proceedings」8月号に掲載された。Romine氏は、「セラピードッグがいることで、リハビリのセッションのあり方が一変することがある。患者からは、セラピードッグがいると落ち着きや安心、自信を持って治療に取り組めるようになるという話をよく聞く。それが回復の過程に意味のある違いをもたらす可能性がある」と述べている。脳卒中のリハビリにおけるAATは、患者の参加意欲や身体機能の改善に役立つ可能性が示唆されているものの、その有効性を評価したランダム化比較試験はほとんどない。そこでRomine氏らは、最近脳卒中を発症した50人を対象に、入院中の脳卒中リハビリにAATを取り入れることの効果を検討した。対象患者は、AATを受ける群(AAT群)と、標準的なリハビリのみを受ける群(対照群)にランダムに割り付けられた。AAT群では、対照群と同じ標準的なリハビリのうち、作業療法、理学療法、または言語療法セッションの一部がAATセッションに置き換えられた。AATセッションでは、手指の細かな動きを訓練するために犬の被毛をブラッシングする課題や、正しい歩き方や姿勢を取り戻すためにセラピードッグと一緒に歩く課題などを行った。患者の感情、意欲、活動量、治療成績について、質問票や生理学的指標、機能評価、身体活動量の測定により評価した。その結果、AAT群では対照群に比べて、リハビリへの参加度が高く、身体活動量が多く、体を動かしている時間の割合も高かった。さらに、AAT群では対照群に比べて心拍変動の指標が有意に改善しており、ストレス反応に好ましい変化が生じた可能性が示された。一方、セルフケアや移動能力などの機能回復については、両群とも改善したものの、有意な群間差は認められなかった。気分やその他の生理的反応についても群間差は認められなかった。共著者の一人であるメイヨー・クリニック内科医のBrent Bauer氏は、「脳卒中からの回復は困難なことがあり、特に意欲が低かったり、十分なエネルギーがなかったりする患者では、その傾向が強くなる。この研究結果は、AATが患者のリハビリへの参加を促し、より良いリハビリ成績を支えるための、実用的かつ効果的な方法となる可能性があることを示している」とニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2026年8月7日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/therapy-dogs-aid-stroke-rehab Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Mayo Clinic