重度の歯周病がある人では、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与が、抗菌薬に代わる治療選択肢となる可能性が、新たな研究で示された。この研究結果を報告したアルバート・アインシュタイン・イスラエル病院(ブラジル)のNidia Castro dos Santos氏らによると、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療でも、抗菌薬による治療に匹敵する効果が得られたという。詳細は、5月12日付で「Journal of Periodontology」に掲載された。論文の筆頭著者であるCastro dos Santos氏は、「これら2つの治療法が極めてよく似た効果を示したことには驚かされた。この研究から、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療が歯周病患者にとって新たな治療選択肢となる道が開かれた」と述べている。論文の背景情報によると、進行した歯周病である歯周炎は、歯肉の下に細菌が蓄積して歯を支える組織に影響を及ぼすことで生じる。Castro dos Santos氏は、「重症の患者では極めて深い歯周ポケットが形成され、この疾患に関連する細菌の温床になる」と説明している。過去の臨床試験では、複数の抗菌薬を組み合わせた治療は、特に入念な歯のクリーニングと併用した場合に、こうした細菌を除去する上で最も効果的であることが示唆されているという。こうした中、Castro dos Santos氏らは、抗炎症治療も歯周病の治療に役立つのではないかと考えた。オメガ3脂肪酸は炎症を自然に収束させ、組織修復に関与する生理活性物質の産生を促進し、アスピリンはその作用をさらに高めるという。今回の研究では、109人の患者に「歯肉縁下のインスツルメンテーション」と呼ばれる、歯肉の下の歯石やバイオフィルムなどを除去する処置を実施した上で、1)抗菌薬のメトロニダゾール(400 mg)とアモキシシリン(500 mg)を1日3回、14日間投与する群、2)低用量アスピリン(100 mg/日)とオメガ3脂肪酸(3 g/日)を6カ月間投与する群、3)上記の抗菌薬、アスピリン、オメガ3脂肪酸を全て併用する群(両治療の併用群)、4)プラセボを投与する群の4群のいずれかにランダムに割り付けた。その結果、抗菌薬投与群、アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与群、両治療の併用群の3群では、それぞれ58.6%、57.7%、57.1%の患者が「5 mm以上のポケットを4カ所以下にする」という治療目標を達成した。これは、プラセボ群における割合(23.1%)の2倍を超えていた。この結果は、研究グループの予想に反するものだった。Castro dos Santos氏は、「われわれは、患者の歯周炎のコントロールにおいて有効性が最も高いのは両治療の併用群であり、オメガ3脂肪酸とアスピリンの投与群の治療成績は、抗菌薬投与群と比べて少し劣るだろうと予想していた」と言う。なお、同氏らによると、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与終了から6カ月が経過しても治療終了時と同程度の効果が維持されていた。ただし研究グループは、今回の結果は抗菌薬からこの治療に直ちに切り替えるべきことを意味するものではなく、異なる患者集団でのさらなる検証が必要だとしている。論文の上席著者で、米ハーバード大学歯学部口腔医学・感染・免疫部門のMagda Feres氏は、抗菌薬耐性の問題を考慮すると、抗菌薬の代替治療として抗炎症治療は有用な可能性があるとニュースリリースの中で述べている。同氏は、「オメガ3脂肪酸と低用量アスピリンの併用は、メトロニダゾールとアモキシシリンによる治療に匹敵する臨床的有用性を示した。このことから、抗菌薬を使用できない人、特にこれらの薬剤にアレルギーがある患者や不耐容の患者にとって、現実的な代替治療となる可能性が開かれた」と述べている。(HealthDay News 2026年8月12日) https://www.healthday.com/health-news/dental-care/aspirinomega-3-combo-matches-antibiotics-in-treating-gum-disease-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock