勃起不全(ED)や下部尿路症状の治療に使われるタダラフィルが、緑内障リスクの上昇と関連する可能性を示した研究結果が報告された。下部尿路症状の治療にタダラフィルを使用している男性では、使用していない男性に比べて緑内障や高眼圧症を発症するリスクが高かったという。台湾大学病院のChien-Chih Chou氏らによるこの研究は、8月4日付で「British Journal of Ophthalmology」に掲載された。タダラフィルは、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬に分類される薬剤で、肺動脈性肺高血圧症、ED、下部尿路症状の治療に用いられている。PDE5阻害薬は、PDE5という酵素の働きを抑えて細胞内のcGMP(環状グアノシン一リン酸)を増加させ、平滑筋を弛緩させて血管を広げる。一方で、こうした作用により頭痛やほてり、難聴、起立性低血圧などの副作用が生じることがある。眼についても、漿液性網膜剥離や網膜血管閉塞など、まれではあるが重篤な副作用が報告されている。ただし、PDE5阻害薬の使用と緑内障との関連については、これまで一致した見解が得られていない。今回の研究では、下部尿路症状の既往がある40歳以上の男性のデータが解析された。対象者は、傾向スコアを用いて1対1でマッチングしたタダラフィル群(3万6,927人、平均年齢62.1歳)とPDE5阻害薬を使用していない対照群(3万6,927人、平均年齢62.3歳)であり、最長5年間追跡された。解析の結果、タダラフィル使用群では対照群と比べて緑内障の発症リスクが22%(ハザード比〔HR〕1.22、95%信頼区間〔CI〕1.12~1.33)高いことが示された。同様に、高眼圧症の発症リスクは32%(HR 1.32、95%CI 1.06~1.65)、原発開放隅角緑内障の発症リスクは33%(HR 1.33、95%CI 1.05~1.67)、緑内障治療開始のリスクは33%(HR 1.33、95%CI 1.20~1.47)高かった。一方、正常眼圧緑内障と原発閉塞隅角緑内障の発症リスクについては、有意な関連は認められなかった。緑内障の5年間の累積発症率は、タダラフィル使用群で3.93%、対照群で3.16%であり、タダラフィル使用群の方が有意に高かった(P<0.001)。研究グループは、今回の結果はタダラフィルの使用を否定するものではないとした上で、特にすでに緑内障や高眼圧症がある患者、緑内障の家族歴がある患者、強度近視の患者、長期治療が必要な患者は、定期的な眼科検診を検討すべきだとしている。米Northwell Health Eye Instituteの臨床責任者であるJung Lee氏も、「タダラフィルが緑内障を引き起こすと断定するのは時期尚早」との見方を示している。同氏は、「タダラフィルを使用する患者で視力を失うリスクが高まるとは考えていない。緑内障の発症リスクと関連する可能性があるというだけで、この薬の使用開始が禁忌になるとは考えていない」と述べている。またLee氏は、今回の研究は観察研究であるため、タダラフィルと緑内障との間に因果関係があるとは結論付けられない点を指摘する一方で、「特に眼疾患の既往がある患者では、眼の健康状態を把握するために定期的な眼科検診を受けることは理にかなっている」と付け加えている。(HealthDay News 2026年8月17日) https://www.healthday.com/health-news/eye-care/ed-drug-might-increase-glaucoma-risk-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock