オレゴン州の規制下にあるシロシビンサービスを利用した人では、シロシビンの使用後に抑うつ、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などのメンタルヘルス症状が改善し、安全性もおおむね良好であったことが、新たな研究で示された。シロシビンはマジックマッシュルームに含まれる幻覚成分で、治療抵抗性うつ病などに対する効果が期待されている。米オレゴン健康科学大学(OHSU)医学部のTodd Korthuis氏らによるこの研究結果は、8月19日付で「JAMA Network Open」に掲載された。オレゴン州では2020年にシロシビンサービス法が成立し、2023年から21歳以上の成人は、州に認可されたサービスセンターにおいて、ファシリテーターの監督下でシロシビンを利用できるようになった。研究グループによると、これまでに2万人を超える人がシロシビンサービスを利用している。しかし、このサービスの実際の安全性や健康転帰については明確になっていなかった。今回の研究では、オレゴン州の認可を受けた26カ所のシロシビンサービスセンターのうち24カ所で2024年11月から2026年3月の間にサービスを利用した346人(平均年齢49.5歳、女性52.5%)を対象に、シロシビン療法の安全性と転帰を評価した。参加者は、サービスセンターでシロシビンを1回自己投与し(平均31.9 mg)、1週間後、1カ月後、3カ月後に追跡評価を受けた。追跡は2026年6月まで行われた。その結果、投与の1カ月後には92.2%が「効果があった」と回答し、58.6%はシロシビン投与の体験を「人生で最も意味のある10の体験の1つ」に挙げた。抑うつ、不安、PTSDの症状はいずれもシロシビン投与後1カ月で大きく改善し、その効果は3カ月後もおおむね維持されていた。中等度~重度の症状がある人の割合は、抑うつでは投与前で42.2%、1カ月後で10.6%、3カ月後で16.5%、不安ではそれぞれ45.1%、11.9%、13.2%、PTSDではそれぞれ48.0%、19.4%、16.8%であった。また、精神的ウェルビーイングや生活満足度も改善し、自分の生活に「非常に満足」または「ある程度満足」している人の割合は、投与前の63.0%から1カ月後には83.4%、3カ月後には82.3%に上昇した。一方、安全性については、シロシビン投与が有害だったと回答した人は、1週間後で1.6%(5人)、1カ月後で1.9%(6人)、3カ月後で2.3%(7人)と少なかったが、4人(1.2%)で重篤な行動上の有害反応が報告され、うち1人は医療的対応を必要とした。重篤な医学的有害反応は認められなかった。Korthuis氏は、「安全性は、臨床現場で幻覚剤を使用した場合にこれまで認められてきたものと非常によく似ていた。厳密に管理された臨床試験で認められたシロシビンの安全性が、実際の利用場面でも同様に認められるのかどうかは大きな疑問だったため、この知見は重要である」と話している。なおKorthuis氏によると、シロシビンは精神病や双極症など特定の疾患を有する人には適していない。また、妊婦も使用すべきではないという。今回の研究には関与していない米退役軍人省の元保健担当次官で米OHSUのShereef Elnahal氏は、「今回の初期の結果から、オレゴン州でこうしたサービスを利用する人の健康をシロシビンが改善する可能性が示された。またこの研究は、PTSDや物質使用障害など、米国の退役軍人にも影響するメンタルヘルスの問題の治療を目的に幻覚剤の使用を認める制度を検討している政策担当者にとっても重要な知見となる」とニュースリリースで話している。シロシビン療法は連邦政府が承認した治療法ではないものの、オレゴン州に続き、コロラド州やニューメキシコ州などでも導入する動きが広がっており、他にも多くの州が同様の法整備を検討している。(HealthDay News 2026年8月21日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/psilocybin-safe-and-effective-against-mood-disorders-real-world-data-show Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock