ホルモン受容体(HR)陽性HER2陽性の転移性乳がんに対する新たな治療法によって、一部の患者では、少なくとも初回治療として化学療法を回避できる可能性が、第1・2相臨床試験で示された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学乳腺腫瘍内科臨床部長のAmy Tiersten氏らによるこの試験の詳細は、7月30日付で「Journal of the National Cancer Institute」に掲載された。Tiersten氏は、「これらの知見は、より大規模なランダム化臨床試験で確認する必要があるが、一部の患者では将来的に、この治療法が初回治療として化学療法に代わる有効な選択肢となる可能性がある」と述べている。この治療法は、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)4/6阻害薬のパルボシクリブ、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体のトラスツズマブおよびペルツズマブ、アロマターゼ阻害薬のアナストロゾールの4剤を用いるもの。CDK4/6阻害薬はがん細胞の増殖に関わるCDK4/6を、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体はHER2を標的とする分子標的薬であり、アロマターゼ阻害薬は女性ホルモンのエストロゲンの産生を抑えるホルモン療法薬である。第1相試験では、未治療のHR陽性HER2陽性転移性乳がん患者を対象に、3+3デザインを用いてパルボシクリブの最大耐用量(MTD)が評価された。パルボシクリブを他の3剤と併用し、100 mgを3人、125 mgを6人に投与したところ、用量制限毒性(DLT)は認められず、125 mgがMTDとして設定された。続く第2相試験では、さらに23人を追加登録し、奏効評価が可能な計29人を対象に、MTDのパルボシクリブと他の3剤による併用療法の有効性などが評価された。主要評価項目は、治療から6カ月間で臨床的に効果が得られた割合(臨床的有用率〔CBR〕)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、および安全性であった。その結果、CBRは97%(28人)であり、中央値45.3カ月の追跡期間におけるPFSの中央値は24.9カ月であった。中央値39.4カ月の追跡時点でOS中央値は未到達だった。なお、研究グループによると、長期間にわたって治療効果が得られている女性も複数おり、そのうちの1人はこの治療を6年以上継続しているという。安全性に関しては、治療関連有害事象として、好中球減少、白血球減少、下痢、貧血が最もよく見られた。グレード3~4の治療関連有害事象が62%(18人)に発生しており、その多くは血液学的なものだった。研究グループは、この治療法は主に経口投与または皮下投与で行われるため、化学療法に伴う負担の一部を軽減し、患者にとって、より利便性の高い選択肢となる可能性があるとしている。ただし、今回の研究は比較的小規模であり、治療法と現在の標準治療を直接比較したものではない。そのため、より大規模なランダム化比較試験で同様の結果が確認されるまでは、今回の結果は仮説生成のためのものと捉えるべきだとの見解を示している。(HealthDay News 2026年8月25日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/chemo-free-treatment-shows-promise-for-some-metastatic-breast-cancer-patients Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock