WeCareAdvisorと呼ばれるウェブベースのアプリを利用することで、介護者は薬に頼らずに認知症の家族によりうまく対処できる可能性が、新たな研究で示された。このアプリは、認知症患者に見られるアジテーションや攻撃性などの行動として現れる症状(以下、行動症状)に介護者が対処するための方法を提供する。アプリの使用により、こうした行動症状の頻度や重症度が有意に低下するわけではないものの、介護者がそれらの症状によって感じる苦痛は時間の経過とともに軽減し、ウェルビーイングも改善することが示されたという。米ドレクセル大学看護・医療専門職学部名誉学部長のLaura Gitlin氏らによるこの研究結果は、8月6日付で「Journal of the American Geriatrics Society」に報告された。Gitlin氏は、「今回の研究に参加した介護者は、アジテーションや落ち着きのなさ、徘徊などの対処が難しい行動症状に、1カ月当たり平均6種類直面していた。アプリを利用してもこうした行動症状は引き続き見られたが、それらに対処する介護者の苦痛は軽減した」と述べている。このアプリでは、まず介護者が、認知症患者の問題となっている行動と、その背景にある原因を探るための一連の質問に回答する。その回答に基づいて、介護者が試すことのできる複数の非薬物的な対処法が提示される。介護者にはこのほか、テキストメッセージで介護に関するヒントが毎日送られ、教育資料も利用できる。さらに、アプリが提案した対処法がどの程度有効だったかを評価することもできる。今回の研究では、家族介護者262人(平均年齢63.8歳、女性82%)を対象に、このアプリの有効性を検討した。参加者の半数(131人)はただちにアプリの使用を開始する群(即時使用群)、残る半数は、3カ月後からアプリを使用する群(待機群)にランダムに割り付けられた。ベースライン時と1カ月後、3カ月後に面接を実施し、アプリが介護者と認知症患者の双方に与える影響を評価した。その結果、3カ月時点では、行動症状の重症度と頻度を組み合わせたスコア、介護者の苦痛、および行動症状への対処に対する自信について、即時使用群と待機群の間に有意差は認められなかった。一方、ベースラインから3カ月までの変化を見ると、即時使用群では待機群に比べて、介護者の苦痛の低下幅が有意に大きく、ウェルビーイングも有意に改善した。また、認知症患者に見られる行動症状の数についても、即時使用群では待機群と比べて経時的な有意な減少が認められた。Gitlin氏は、「介護者は平均すると月に1回程度、このアプリを利用していた。また、毎日のヒントを受け取れる点や、信頼できる教育資料をアプリで利用できる点、さらに、それぞれの介護状況や行動上の問題に合わせて個別化された対処法が提供される点も、介護者に非常に好評だった」と話している。論文の上席著者である米カリフォルニア大学デービス校教授のHelen Kales氏は、これまでの研究で、認知症患者に見られる問題行動よりも、介護者が感じる苦痛の方が、ある意味で重要であることが示されていると指摘する。その上で、「認知症患者が入院や救急外来の受診に至るかどうかについては、患者の症状の重症度よりも介護者が感じる苦痛の程度の方が強い予測因子になる。介護者が感じている苦痛の大きさがその後の経過を左右しているように見えることから、介護者の苦痛を軽減できる方策は、介護者と認知症患者の双方の日常生活を改善する可能性がある」とニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2026年8月25日) https://www.healthday.com/health-news/caregiving/web-app-helps-caregivers-manage-dementia-patients-aggression-agitation Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock