極端な暑さによる健康への影響は、単なる脱水や熱中症にとどまらないようだ。米ノースウェスタン大学地球・環境・惑星科学准教授のDaniel Horton氏らによる研究で、極端な暑さへの曝露と関連する診断カテゴリーは、急性腎不全、多発性硬化症、カンナビノイド関連の精神・行動障害、昆虫による咬傷・刺傷、交通事故、銃器による外傷など33に上ることが示された。この研究の詳細は、8月26日付で「Science Advances」に掲載された。Horton氏は、「これまでの研究から、人は極端な暑さにさらされると攻撃的に振る舞いがちになることが示されている。今回の結果にも、そのことが関係している可能性がある。暑いと心身の双方にストレスがかかり、注意力が散漫になったりいら立ちが強まったりして、事故が増える可能性がある」とニュースリリースで述べている。研究グループによると、極端な暑さの日の増加に伴い、暑さが健康に与える影響について懸念が高まっている。暑さと健康の関連を検討した過去の研究では、対象とする診断や診断カテゴリーが限定されていたため、暑さに関連する健康問題を見落としたり、誤分類したりする可能性があるという。極端な暑さが健康にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを評価するため、Horton氏らは、2011~2023年の5~9月にシカゴの4つの医療システムで救急外来または緊急診療を受診した成人37万2,140人(女性57.9%)の受診記録(計91万6,904件)に含まれていた1,803のICD-10診断カテゴリーについて調べた。極端な暑さは、暖候期の日最高気温の95パーセンタイルに当たる33.67℃以上と定義した。研究期間中、100日が極端な暑さの日に該当した。解析は2段階に分けて行われた。第1段階の解析では、気温の上昇に伴って受診件数が増加する診断カテゴリーを選別した。その結果、44カテゴリーが特定された。第2段階の解析では、この44カテゴリーを対象に、受診リスクが最も低いと推定された気温を基準として、極端な暑さの日から3日後までの受診リスクがどの程度異なるのかを解析した。その結果、33カテゴリーが、統計学的な関連と症例数に関する基準を満たした。このうち10カテゴリーが疾患関連、23カテゴリーが外傷、中毒または外因関連であった。疾患関連の10カテゴリーの中で、当日から3日後までの累積オッズ比(OR)が最も高かったのは、「他に分類される疾患における糸球体障害」で11.16(95%信頼区間〔CI〕5.87~21.25)であった。そのほか、「下肢の静脈瘤」4.15(同2.44~7.05)、「浮腫」3.61(同2.85~4.57)、「褥瘡」3.52(同2.20~5.61)、「急性腎不全」3.28(同2.73~3.93)などがあった。外傷、中毒、または外因関連では、「その他の明示された手段による加害」のORが38.31(同12.49~117.55)で最も高く、「その他および詳細不明の銃器の発射」「下肢の熱傷・腐食傷」「肩・上腕の開放創」「前腕の開放創」「表在性損傷」「骨折」「捻挫」「創傷」「物体による外傷」「鋭利なガラスとの接触」「無毒昆虫およびその他の無毒節足動物による咬傷または刺傷」「交通事故」なども含まれていた。論文の筆頭・責任著者である米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のHyojung Jang氏は、「気候変動の有害な影響を最も受けやすい人や地域社会を守ることは、公衆衛生上の責務である。一般によく知られている熱関連疾患だけを追跡していれば、暑さに関連する実際の健康負担を過小評価することになり、弱い立場にある人や地域社会が見過ごされる可能性がある」とニュースリリースで述べている。研究グループによると、都市は、冷房の効いた場所を提供する、樹木を増やす、バス停に日陰を増やす、賃貸住宅の所有者に十分な冷房設備の提供を義務付けるなどの方法で暑さに備え、市民を守ることができるという。Horton氏は、「極端な暑さとさまざまな健康問題との間に関連があることが判明した以上、極端な暑さへの曝露を減らすことが極めて重要である」と述べている。(HealthDay News 2026年8月27日) https://www.healthday.com/health-news/environmental-health/heat-waves-linked-to-dozens-of-health-problems-emergencies Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock