ソーシャルメディアの利用時間が長い成人では、自分はうつ病だと申告する割合が高いことが、新たな研究で示された。ソーシャルメディアの利用が1日約150分に達するあたりから、自己申告によるうつ病(self-reported depression;SRD)との関連がより明確になる傾向が認められたという。米シンシナティ大学教授のHans Breiter氏らによる研究で、詳細は8月22日付で「npj Mental Health Research」に掲載された。ソーシャルメディアは、仕事や学歴、ゲーム、インターネットサーフィン、テレビ視聴などの要因と比べても、SRDの予測因子としてはより重要だったという。Breiter氏は、「非常に深刻な状況が明らかになった。ソーシャルメディアは、生涯を通じて人々にとって有害だ。視聴時間を最大化するために依存症の科学を利用した製品に身をさらすべきではない」と述べている。この研究では、メディアの利用行動や影響に関する調査(Media Behavior & Influence Study)に参加した18~70歳の成人のデータを解析し、ソーシャルメディアの利用がSRDと一貫して関連するのかを検討した。対象としたのは、2014年から2024年にかけて毎年実施された11回の調査で、参加者数は延べ約18万3,000人に上った。また、各年の調査データごとに機械学習モデルを構築し、人口統計学的特徴(年齢や性別、所得、教育、職業など)や各種メディア利用とともに、ソーシャルメディア利用がSRDの判別にどの程度寄与するかも検討した。その結果、人口統計学的特徴で調整後も、ソーシャルメディアの利用時間が長いことは、11回の調査の全てでSRDと正の関連を示し、ソーシャルメディアの利用時間が1日60分長くなるごとにSRDのオッズは約17%高くなると推定された。また、機械学習モデルによるSRDの判別に寄与する因子を検討したところ、ソーシャルメディアの利用が11年間を通して重要な予測因子であることが示された。さらに、別の解析では、ソーシャルメディア利用が1日約150分に達するあたりから、モデルによるSRD判別への寄与が中立付近から正の方向へ転じる傾向が認められた。11年間でソーシャルメディアは、SRDの予測因子として次第に重要性を増していた。この点について、論文の共著者であるシンシナティ大学のNicole Vike氏は、「その背景には、ソーシャルメディアそのものの変化があるのかもしれない。当初、ソーシャルメディアは知り合いとの交流の場であったが、現在では、知らない人やインフルエンサーが作ったコンテンツを消費することが一般的になっている」とニュースリリースで指摘している。Vike氏はまた、「ソーシャルメディアに対する依存性は、驚くほど高くなり得る。それは、常にオンラインで活動しているコンテンツ制作者を見れば明らかだ。メンタルヘルスを守るため、数カ月にわたってオンライン活動を休止しなければならないことも珍しくない」と述べている。同じく論文の共著者であるシンシナティ大学のJohnathan Avant氏は、「今回の結果は、ソーシャルメディア利用者自身から絶えず聞かれる不満とも一致する。ソーシャルメディア上では、それが自分のメンタルヘルスに及ぼす悪影響について語る傾向が見られる」と述べている。それでも研究グループは、「人々にソーシャルメディアを完全にやめることを求めるのは現実的ではないだろう」との見方を示している。論文の筆頭著者である米ノースウェスタン大学名誉教授のMartin Block氏は、「ソーシャルメディアは、1世紀以上前の自動車と同じように、現代文化を象徴する存在だ。一方で、ソーシャルメディアには、うつ病との関連という重要な負の側面もある。それは、自動車が衝突事故によるけがや大気汚染と関連しているのと似ている」とニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2026年8月31日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/social-media-increases-risk-of-depression-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock