サンフランシスコでメイクアップアーティストとして働いていたSara Kutzleさんは、39歳のときに脳卒中を発症し、1週間にわたって集中治療を受け、1カ月間入院した。退院後のKutzleさんは、何カ月もかけて、歩くことや文字を書くこと、右利きのアーティストとして再び仕事をすることなど、日常生活や仕事に必要な能力を一から身に付け直す必要があった。彼女はニュースリリースの中で、「当初は体の回復に集中していたが、すぐに、回復にはそれ以上のことが関わっていると気付いた。自信、メンタルヘルス、人間関係、自立しているという感覚の全てが影響を受けた」と振り返っている。米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)は、8月27日付で「Stroke」に新たなガイドライン「成人脳卒中リハビリテーション・回復ガイドライン2026」を公表した。このガイドラインは2016年版に代わるもので、脳卒中後のリハビリテーション(以下、リハビリ)のニーズを評価し、実施するための最新の科学的知見を反映している。新ガイドラインでは、発症24~48時間後から段階的な離床を開始することを強く推奨している。また、発症24時間後以降には、中~高強度の運動や課題練習を行うことを推奨している。一方、発症から24時間以内の高用量の離床は、神経学的悪化や機能転帰の悪化のリスクがあるため行うべきではないとしている。早期離床以外の重要点としては、リハビリを効果的なものとするために神経内科医、リハビリテーション看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、心理士などから成る多職種連携の医療チームが不可欠であること、脳卒中患者の回復の経過に応じて治療目標を継続的に再評価すべきこと、うつ病や不安症などのメンタルヘルス問題について早期かつ定期的にスクリーニングを行うことも強調されている。この他、仕事への復帰、幼い子どもの世話、睡眠や痛みの問題への対処、性機能の変化への適応など、脳卒中後の生活に患者が適応するための支援の必要性や、患者の介護者をリハビリの計画、教育、支援に含める必要性についても言及している。このガイドラインの筆頭著者である米ユタ大学准教授のLorie Gage Richards氏はニュースリリースの中で、「普段、何気なく行っている動作でも、それは身体機能、認知機能、コミュニケーション能力など、複数の能力の連携により成り立っている。脳卒中はこうした日常生活に必要な多くの能力に影響を及ぼす可能性があるため、リハビリも複雑になる。リハビリのガイドライン作成も同じように複雑である。脳卒中は患者ごとに異なり、それぞれが異なる課題に直面し、回復の仕方もさまざまであるため、ケアは個々のニーズに合わせて個別化すべきである」と述べている。本ガイドラインの作成に患者代表として参加したKutzleさんもこの考えに同意し、「回復とは、単に物事をもう一度できるようになることだけではなかった。新しい自分を受け入れ、前へ進み続けることでもあった」と述べている。Kutzleさんはさらに、「支援グループに参加し、日記を書き、自分に何が起きたのかを受け止める方法を学んだことは、理学療法だけでは得られなかった形で私の回復を助けてくれた。他の人の回復と自分の回復を比べるのをやめ、自分自身の進歩に目を向けなければならなかった。メンタルヘルスも回復の一部だと理解したことで、全てが変わった」と述べている。Richards氏は、「脳卒中後の回復とは、単に身体的に強くなり、能力を取り戻すことだけではない。重大な健康上の出来事を経験した後の感情の変化に対処し、新たな課題に適応し、新たな目的意識とレジリエンスを持って前に進んでいくことを含む、継続的なプロセスである」と述べている。(HealthDay News 2026年9月2日) https://www.healthday.com/health-news/stroke/stroke-survivors-should-start-rehab-within-48-hours-new-guidelines-say Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock