心疾患の発症につながる変化は症状が現れる数十年前から生じていることが多いが、18~70歳の成人約1万3,000人の画像所見を用いた大規模研究で、全体の約57%、18~29歳の若年成人でも約13人に1人に無症候性アテローム性動脈硬化症が認められることが明らかになった。この研究結果は、欧州心臓病学会学術集会(ESC Congress 2026、8月28~31日、ドイツ・ミュンヘン)で発表されるとともに、8月29日付で「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に掲載された。論文の筆頭著者であるコペンハーゲン大学病院リグスホスピタレット(デンマーク)心臓センターのHenning Bundgaard氏は、「現在、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の発症リスクは、年齢、性別、喫煙状況、血圧、コレステロール値などのリスク因子に基づいて推定されており、その結果によって1次予防を行うかどうかが決められる。しかし、この決め方は推定に基づいており、実際にアテローム性動脈硬化性プラークが存在するかどうかを確認しているわけではない。そのため、何年も前からアテローム性動脈硬化が進行している人に対して、心血管イベントを予防する重要な機会を逃している可能性がある」と述べている。今回の研究には、既知のASCVDのない18~70歳の成人1万6,808人(平均年齢45±12歳、女性51.4%)が登録された。このうち、頸動脈、大腿動脈、冠動脈の3血管領域全ての画像が得られた1万3,186人を対象に、無症候性アテローム性動脈硬化症の有病率が解析された。無症候性アテローム性動脈硬化症の評価は、頸動脈と大腿動脈については3次元血管超音波検査で、冠動脈についてはCT血管造影で評価された。その結果、解析対象者の57.1%に無症候性アテローム性動脈硬化症が認められた。有病率は男性で63.4%、女性で50.9%と男性の方が高かった。年齢層別に見た同有病率は、18~29歳では男性8.7%、女性6.7%、30~39歳ではそれぞれ34.6%、21.3%で、年齢層が上がるにつれて有病率も上昇した。また、男性ではより早期から有病率が上昇したのに対し、女性では一般的な閉経年齢頃に当たる中年期に急激な増加が見られた。60~70歳でプラークが全く認められなかった割合は、男性で1.9%、女性で8.1%にとどまった。若年成人ではアテローム性動脈硬化症は末梢動脈に見られることが多く、単一の血管領域に限局していることが多かったが、年齢とともにプラーク量は急増し、複数の血管領域に病変を認める割合も高くなった。さらに、従来のリスク評価であるSCORE2(Systematic Coronary Risk Evaluation 2、40~69歳が対象)では、すでに無症候性アテローム性動脈硬化症がある人の多くが高リスクに分類されていなかった。SCORE2によるリスク評価と実際のプラークの有無との乖離は、年齢が若い人ほど顕著であった。研究グループは、携帯型超音波装置を用いることで、従来のリスク評価では捉えられないプラークを検出できる可能性があるとしている。また、この方法によってアテローム性動脈硬化症の進行を遅らせ、心筋梗塞や脳卒中の予防につなげられるかどうかを検証するため、大規模なランダム化試験を計画しているとしている。(HealthDay News 2026年9月2日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/study-finds-1-in-13-young-adults-has-hidden-artery-disease Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock