日常生活で多くの光を浴びている高齢者は、睡眠や活動リズムが良好な可能性があるようだ。欧州3都市で行われた研究で、日常生活の中で光曝露量が多い高齢者では、日中の活動レベルが高く、覚醒がよりまとまっており、睡眠の質も良好だった一方、高血圧や糖尿病などを報告した人では光曝露量が少ないことが示された。さらに、自宅で光療法を行う場合、実施時刻によって休息・活動リズムとの関連が異なる可能性も示されたという。英サリー大学などの国際研究グループが実施したこの研究結果は、9月2日付で「Journal of Pineal Research」に掲載された。この研究では、オランダのアムステルダム、イタリアのボローニャ、エストニアのタルトゥに住む63~92歳の高齢者202人(平均年齢74.7歳、女性72%)を対象に、日常生活の中での光曝露と日中の活動レベルや睡眠の質などとの関連、および光療法の影響を検討した。まず2週間、腕時計型の活動量計とネックレス型の光センサーを使って、参加者の普段の休息・活動リズムと光曝露量を測定した。光曝露については、日常生活で実際に浴びた光を測定し、一定以上の明るさの光を浴びた時間なども評価した。その後、研究から離脱した11人を除く191人を、自宅で12週間、光療法を行う群(98人)と、光療法を行わない対照群(93人)にランダムに割り付けた。光療法群には、支給したランプを家の中で最も長く過ごす部屋に頭の高さで置き、1日合計2時間以上使用するよう指示した。ランプは起床後1時間以内、ただし日の出前ではない時間に点灯し、遅くとも通常の就寝時刻の4時間前までに消灯することを求めた。最初の2週間の測定結果から参加者を光曝露量が多い群、中程度の群、少ない群に分類して解析すると、光曝露量が少ない群では多い群と比較して、日中の活動レベルが有意に低く、覚醒のまとまりが悪かった。さらに、光曝露量が少ない群ではピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)のスコアの中央値が7.0点であり、中程度の群(中央値5.0点)や多い群(中央値4.0点)よりも高く、睡眠の質が低いことが示された。また、光曝露量が多い群では少ない群と比べて睡眠の質が良好であるオッズが有意に高かった(オッズ比3.0、P=0.03)。光療法の実施時刻を考慮せずに解析すると、光療法群、対照群のいずれでもベースラインと追跡評価との間でアウトカム(活動量や睡眠の質)の有意な変化は認められず、両群間の比較でも有意差は認められなかった。次に、光療法群のうち追跡評価時にランプの使用状況を日誌で報告した52人について使用状況を解析し、必要なデータが得られた参加者を対象に光療法の実施時刻とアウトカムとの関連を検討した。その結果、午前10時34分ごろより前に光療法を始めた人では、それより遅い時刻に始めた人に比べ、休息・活動リズムの分断が少なく、日中の活動レベルが高かった。ただし、クロノタイプや年齢、性別、季節などを調整した後も有意な関連が認められたのは休息・活動リズムの分断のみで、活動レベルとの関連は有意ではなくなった。また、午後5時45分ごろより前に光療法を終えた人では、それよりも遅い時刻に終えた人に比べて休息・活動リズムの分断が少なかったが、この関連はクロノタイプなどを調整すると有意ではなくなった。研究グループは、高血圧、糖尿病、肥満、心血管疾患のいずれかを報告した参加者では、これらを報告しなかった人より、ベースライン時の総光曝露量が有意に少なかったことから、これらの人では光療法が有益となる可能性があるとの見方を示している。ただし、この結果は、これらの疾患を持つ人ほど光療法の効果が大きいことを示したものではない。論文の筆頭著者であるサリー大学健康・医療科学分野のDébora Constantino氏は、「今回の研究は、光を用いた介入が、シンプルで非薬物的であり、費用対効果にも優れる可能性があること、また、公衆衛生政策の観点から健康的な加齢を支援するのに役立つ可能性があることを、実生活の環境で示したものだ」と述べている。(HealthDay News 2026年9月3日) https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/light-therapy-improves-sleep-among-seniors-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock