笑いは最高の薬だと言われているが、呼吸を楽にするのにも役立つのだろうか。新たな研究によると、答えは「イエス」である。笑い療法は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の呼吸困難を軽減する上で、従来の呼吸療法である口すぼめ呼吸と同様、有効である可能性が示された。ハジェテペ大学(トルコ)看護学部出身の講師・看護師Goncagul Aldan氏らによるこの研究結果は、欧州呼吸器学会議(ERS Congress 2026、9月5~9日、スペイン・バルセロナ)で発表された。Aldan氏は、「COPDは呼吸が困難になる重篤な肺疾患である。その患者数は世界中で何百万人にも上り、障害や死亡の主な原因の一つとなっている。COPD患者は、簡単な日常生活動作を行っている最中でさえ、呼吸困難を感じることが多い。それによって生活の質(QOL)が低下し、ケアを受けるために他者への依存度が高まる。しかし、COPDの管理は薬物療法だけでは不十分である。患者には、症状、疾患による身体的負担、さらに感情面や心理面への影響に対処するのを助けるための包括的なアプローチが必要である」と述べている。COPDでは、息を吐く際に気道がつぶれやすくなり、空気が肺内に閉じ込められる。口すぼめ呼吸は、鼻から息を吸い、すぼめた唇からゆっくりと息を吐き出す呼吸法で、肺内に閉じ込められた空気を外へ排出するのに役立つ。この研究では、トルコのCOPD患者63人を対象に、口すぼめ呼吸運動と笑い療法が呼吸困難の重症度、健康状態、およびケアへの依存度に及ぼす影響が検討された。対象者は、笑い療法または口すぼめ呼吸運動のいずれかの介入を受ける群と、呼吸運動は行わないが対面教育を受ける対照群の3群に、それぞれ21人ずつ割り付けられた。笑い療法群は、意図的な笑いを呼吸運動として用いる方法を対面で教わった。この方法には、声を出しながらリズミカルに手をたたく、オートバイのエンジンを始動させるまねをするなどの遊びを取り入れた笑いの練習、自発的で無理のない笑いの練習などが含まれていた。その後は、1回30分の笑い療法を週3回、8週間にわたり実践した。その結果、介入開始から8週時点のDyspnea-12で評価した呼吸困難のスコア(高いほど呼吸困難が重い)は、対照群で口すぼめ呼吸群および笑い療法群より有意に高く、この差は追跡調査を行った12週時点でも持続していた。また、COPD患者の健康状態を評価する指標であるCAT(COPD Assessment Test、スコアが高いほどCOPDによる健康への影響が大きい)も、8週時点では対照群の方が口すぼめ呼吸群および笑い療法群より有意に高かった。ケアへの依存度については、いずれの時点でも群間に有意差は認められなかった。研究グループは、より多くの患者を対象として、より大規模に笑い療法の効果を研究する予定であるとしている。Aldan氏は、「今回の知見は、自宅で器具や専門家の支援を必要とせずに実践できる簡単で低コストの方法によって呼吸困難が軽減し、日々のウェルビーイングが改善する可能性があるという希望を与えるものである。口すぼめ呼吸と笑い療法はいずれも、薬物療法や呼吸リハビリテーションプログラムを補完する、既存のCOPDケアへの有益な追加手段となる可能性がある」と述べている。ERSの副会長であるMarc Miravitlles氏は、この研究を「小規模だが適切に実施された研究」と評価した。同氏は、「患者の呼吸が改善し、全般的な体調が良くなったことを示した本研究結果は有望である。笑い療法は簡単で低コストであり、世界中の人々が場所を問わず利用できる可能性がある。この分野でさらなる研究が行われることを期待している」と述べている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年9月8日) https://www.healthday.com/health-news/pulmonology/laughter-could-be-great-medicine-for-copd-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: lovelyday/Adobe Stock