新しい医師を探すときには、オンライン上のレビューが本物かどうかにも注意が必要かもしれない。医師に関する偽レビューには個人的な健康情報が本物のレビューよりも詳しく書かれている傾向があり、「役に立つ」と評価されやすく、また「信頼できる」と受け取られやすいことが、研究で明らかになった。サイモン・フレーザー大学(カナダ)Beedie School of BusinessのAishwarya Deep Shukla氏らによるこの研究は、「Internet Research」7月9日号に掲載された。オンラインレビューは医療分野においても消費者の意思決定に大きな影響を与えている。倫理観に欠ける小売業者と同様に、一部の医療提供者による偽レビューの投稿も確認されているが、そうしたレビューが医師を探している人に与える影響は明らかになっていない。この研究では、2015年から2017年の間にインドで収集された3万5,000件のレビューを調べた。これらのレビューは、家庭医療から歯科、皮膚科まで、幅広い医療分野に及んでいた。このうち8,313件は、医療提供者やクリニックのスタッフがオンラインプラットフォームのセキュリティ上の欠陥を悪用して投稿した偽レビューであり、一部は患者になりすまして投稿されていた。Shukla氏らは、本物と偽物を含むレビューの中から代表的なものをランダムに5,000件抽出し、レビューについて「役に立った」とする評価を調べるとともに、大規模言語モデルを用いて「知覚された信頼性」のスコアを算出した。その結果、偽レビューは「役に立った」とする評価をより多く集めており、また、知覚された信頼性のスコアでも本物のレビューより高かった。こうした状況の背景にあるメカニズムを解明するため、研究グループは、それぞれのレビューに個人の具体的な健康情報がどの程度含まれているのかを検討した。その結果、偽レビューは本物のレビューよりも長く、内容にも症状や診断、投薬、治療に関する詳細な情報が含まれていることが多く、こうした個人的で具体的な健康情報が偽レビューをより信頼できるように見せている可能性が示された。研究グループは、この結果の背景には、プライバシーを巡る逆説があるとの考えを示している。医師を探している人は詳細な情報を含むレビューを読みたい一方、実際の患者はプライバシーの観点から、個人的な健康情報を公の場で詳しく明かすことに抵抗を感じやすい。偽レビューはこのような情報提供のギャップを利用しているというのである。Shukla氏は、「実際の患者なら、単に『医師が親切だった』と書くかもしれないが、偽レビューでは、症状、診断、治療について詳しい物語が語られる。人々は物語に引きつけられる。残念ながら、こうした人を欺くレビューには、実際の患者が通常は公にしないような情報が含まれており、自分の医療を誰に任せるかという判断に影響を及ぼし得る」と述べている。さらにShukla氏は、AIは不正を行う医療提供者が偽レビューを作成・投稿しやすくすることで、問題を悪化させている可能性が高いと指摘する。同氏は、「AIは諸刃の剣だ。人々がより完全で役に立つレビューを書く助けになる一方で、悪意のある者が詳細な偽レビューを大規模に作成することも容易にしている」と述べている。 Shukla氏は、レビューを参考に新しい医師を探す際には、目立つ体験談だけではなく、全てのレビューに目を通し、共通する傾向を見ることを勧めている。また、通常なら公表をためらうほど詳細な医療情報を含むレビューには注意し、レビューが少ない、あるいは全くない医師をそれだけで除外すべきではないとしている。さらに、レビューだけでなく、専門資格、個人的な推薦、クリニックとの直接のやり取りなども併せて検討することを勧めている。なお、研究グループは、この結果をオンライン上の医師レビュー以外の分野にはそのまま一般化できない可能性があるとしている。(HealthDay News 2026年9月9日) https://www.healthday.com/health-news/general-health/fake-doctor-reviews-look-more-trustworthy-than-real-ones-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock