大腿骨近位部骨折の手術を受けた患者の生存と、教育水準、所得、居住地域、社会サービスの利用という社会経済的要因との関連を調べたところ、最も強い関連を示したのは教育水準であったとする研究結果が、8月5日付で「British Journal of Anaesthesia」に掲載された。論文の筆頭著者であるリンショーピング大学(スウェーデン)のRasmus Åhman氏は、「ヘルスリテラシーという概念がある。これは、医療従事者から提供された情報をどのように受け取り、また、なぜさまざまなことをする必要があるのかを理解することに関する概念である。われわれは、ヘルスリテラシーが教育水準と密接に関連している可能性があると考えている。また、教育水準が高いことは、より広い社会的ネットワークや、家族・親族からより多くの支援を得られることとも関連している可能性がある」と述べている。今回の研究では、2015~2020年にスウェーデンで大腿骨近位部骨折のため緊急手術を受けた18歳以上の患者5万8,641人(年齢中央値83歳、女性66.1%)を手術の2年後まで追跡し、術後30日および2年の全死因死亡と社会経済的要因との関連を検討した。社会経済的要因は、教育水準(9年未満、9年、10~12年、12年超)、世帯の可処分所得(四分位に分類)、居住地域(都市部、中間地域、農村部)、社会サービスの利用(利用なし、在宅支援の利用、介護付き居住施設の利用)の4つの指標で評価した。未調整の30日死亡率と2年死亡率はそれぞれ7.9%と35.3%であった。社会経済的要因の中で死亡と最も強い関連を示したのは教育水準であり、教育歴が短いほど2年死亡のオッズが高かった。教育歴が12年超を基準とした場合の2年死亡の調整オッズ比は、教育歴が10~12年で1.16(95%信頼区間1.08~1.24)、9年で1.20(同1.09~1.32)、9年未満で1.25(同1.16~1.34)だった。また、教育歴が12年超の人と比べ、9年未満の人では2年死亡の絶対リスクが6.3パーセントポイント高かった(95%信頼区間4.3~8.2)。世帯の可処分所得も死亡と関連していたが、教育水準ほど強い関連ではなかった。また、社会サービスの利用についても死亡との関連が認められたが、その関連は30日死亡と2年死亡で異なっており、社会サービスを利用している患者では30日死亡のオッズが低い一方、2年死亡のオッズは高かった。居住地域との関連については、30日死亡との有意な関連は認められなかったが、農村部では都市部と比べて2年死亡のオッズがわずかに低かった。一方、病院が大学病院か非大学病院かという違いと死亡との間に有意な関連は認められなかった。Åhman氏は、「われわれのデータに基づくと、大腿骨近位部骨折の手術を受けた病院の種類によって、生存に明確な差があるとは考えられない」と述べている。ただし、この研究は観察研究であり、教育水準が高いことにより生存率が高まることを示したものでもない。Åhman氏は、「われわれは、より多くの人がもっと勉強に励むべきだと言っているのではない。むしろ、教育水準は個別化した情報提供、リハビリテーション、退院後のフォローアップなど、追加の支援を必要とする可能性がある患者を医療側が特定するための指標となり得る」と述べている。(HealthDay News 2026年9月4日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/one-factor-boosts-survival-among-seniors-after-a-broken-hip-and-its-not-money Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: manassanant/Adobe Stock