夜間に過剰な光を浴びることは心臓の構造や機能の望ましくない変化と関連する可能性が、新たな研究で示された。米チューレーン大学肥満研究センター所長のLu Qi氏らによるこの研究の詳細は、9月9日付で「European Heart Journal」に掲載された。夜間の光曝露は、CVDの潜在的なリスク因子として注目されている。しかし、心臓の構造と機能への影響は依然として不明である。Qi氏は、「これまでの観察研究では、夜間の光曝露が心血管疾患(CVD)リスクの上昇と関連することが示されているが、それに伴う心臓の構造や機能の変化についてはほとんど分かっていない。夜間にたくさんの光を浴びることで、時間の経過とともに心臓に何が起こるのかを明らかにするため、今回の研究を実施した」とニュースリリースで述べている。この研究では、UKバイオバンク参加者である成人1万1,071人(平均年齢61.1歳、女性56.6%)を対象に、夜間の光曝露と心臓の構造・機能との関連を検討した。光曝露量は、参加者に手首装着型センサーを7日間連続で装着させて測定した。各参加者について、活動量が最も低い連続した5時間を概日リズム上の夜間と定義し、その時間帯に3 luxを超える光に曝露された時間を評価した。3 luxは、夜間のメラトニン分泌を抑える可能性がある明るさに相当する。その約3年後にMRI検査を実施し、心臓の構造と機能を評価した。また、心不全(HF)、心房細動(AF)、心筋梗塞(MI)、脳卒中、CVDによる死亡との関連についても、ベースライン時にこれらの疾患に罹患していた人を除外した7万1,077人(AF)~7万3,286人(CVDによる死亡)を対象に評価した。その結果、夜間の3 lux超の光への曝露が多い群(1晩当たりの平均曝露時間33.9分)では、曝露がない群と比べて、左心室(LV)求心性肥大および潜在的な心機能低下が認められ、身長の1.7乗で補正した左室心筋重量が2.4%、左室の平均壁厚が1.5%増加し、心筋収縮分画(myocardial contraction fraction)は1.9%低下していた。また、夜間の光曝露は、心筋の変形能低下とも関連していた。こうした心臓の構造的な変化は「心臓リモデリング」と呼ばれる。さらに、8~10年間の追跡調査期間中、光への曝露が多い群では曝露がない群と比べて、HFリスクが29%、AFリスクが15%、MIリスクが24%、脳卒中リスクが33%高く、CVDによる死亡リスクも26%高かった。Qi氏は、「心臓リモデリングはこうしたストレスに適応しようとする体の反応であるが、最終的には心臓を弱らせ、心不全につながる可能性がある」と述べている。研究グループによると、夜間の光曝露とこのような心臓の構造や機能の変化との関連には、睡眠時間の短縮が関与している可能性があるという。この研究の付随論評を執筆したマインツ大学医療センター(ドイツ)のThomas Münzel氏らは、臨床医に対して、具体的な対応を提案している。同氏らは、夜間の光曝露がCVDの新たなリスク因子として注目されていることを指摘し、特にHFやAFの患者を診療する臨床医に対して、寝室の暗さ、日没後のスクリーンの使用、夜勤について患者に尋ねるよう促している。現時点での助言はシンプルである。遮光カーテンを使い、ベッドサイドには暖色系の照明を選び、家庭用電子機器の待機表示用LEDを覆うことである。(HealthDay News 2026年9月10日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/too-much-light-at-night-may-change-your-hearts-structure-and-function Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock