声の変化は脳機能の低下や認知症の早期警告サインである可能性があるようだ。新たな研究で、難聴はないが、声の高さ、明瞭さ、声量、声域など声の質に問題がある音声障害と診断された人では、音声障害のない人と比べて認知機能低下のリスクが58%高いことが明らかになった。また、音声障害と難聴の両方がある場合、そのリスクは2倍以上に上昇することも示されたという。米ドレクセル大学医学部教授のRobert Sataloff氏らによる研究で、詳細は8月10日付で「Journal of Voice」に掲載された。研究グループによると、難聴は認知症のリスク因子として知られており、補聴器を使用している人では、使用していない人より認知症のリスクが低いことが示されている。しかしSataloff氏らは、パーキンソン病などの他の神経変性疾患で声の変化が見られることから、音声障害も認知症に関連している可能性があると考えた。同氏らによると、パーキンソン病患者の75~90%で発症前または疾患経過中に声や発話に変化が生じるという。今回の研究では、傾向スコアマッチングを行った50歳以上の音声障害患者と、音声障害および難聴のない対照患者、計83万3,417人(平均年齢64.6歳)のデータを用いて、音声障害の最初の診断日などの基準時点から365日後を追跡開始時点として、その後の認知機能低下のリスクを比較した。その結果、音声障害群では診断から365日以降に認知機能が低下するリスクが高いことが示された(ハザード比1.291、95%信頼区間〔CI〕1.155~1.443)。また、音声障害群を難聴の有無で分けて解析すると、音声障害のみがある群では対照群と比べて認知機能低下のリスクが約58%高かった(ハザード比1.583、95%CI 1.403~1.787)。一方、音声障害に難聴を併発する群では、対照群と比べて認知機能低下のリスクが2倍以上高かった(ハザード比2.038、95%CI 1.645~2.524)。さらに、難聴のみを有する場合でも、認知機能低下のリスクは対照群よりも約27%高いことが示された。Sataloff氏は、「音声障害は、難聴のみの場合よりも、認知機能低下のより早期かつ顕著な兆候である可能性がある。認知機能低下との間に最も強い関連が認められたのは、音声障害と難聴の両方がある場合だった。しかし重要なのは、難聴はないが音声障害がある患者のリスクが難聴のみを有する患者を上回っていたことだ」と指摘している。Sataloff氏は、今回の研究デザインから、音声障害が認知症に関連する理由を明らかにすることはできないと指摘しつつも、声の変化が他者との関わり方に影響を与えることが一因である可能性を指摘している。同氏は、「音声障害のせいで声が変わったり、話したり歌ったりしようとすると痛みを感じるのであれば、脳の健康維持にもつながる社会活動や積極的な関わりを伴う活動への参加が減るのは自然なことだ。音声障害が他の身体的兆候に先行することも多いパーキンソン病患者では、すでにこのような現象が認められている」と述べている。また、後に認知機能低下を引き起こす生物学的プロセスが音声障害にも影響を及ぼしている可能性もあるという。Sataloff氏らは、この点についてもパーキンソン病が参考になると述べている。Sataloff氏は、話し方や声に変化が生じた場合には医師に相談すべきだとし、「こうした患者の多くにとって、耳鼻咽喉科医に相談することが有益かもしれない。耳鼻咽喉科医は認知機能評価を手配し、適切なケアプランの作成を支援してくれる」と述べている。(HealthDay News 2026年9月10日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/voice-changes-might-be-a-warning-sign-of-impending-brain-decline-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock