虫垂がん患者の多くは、手術後に化学療法を受けなくても済む可能性があるようだ。限局性虫垂がん患者を対象とした研究で、虫垂がん切除後の再発はまれであり、術後補助化学療法は再発率の低下や全生存期間(OS)の延長とは関連していなかったことが示された。米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター消化器腫瘍内科のJohn Paul Shen氏らによるこの研究結果は、9月9日付で「JAMA Surgery」に掲載された。Shen氏は、「虫垂がんでは、症例ごとに対応する方法が最適である可能性がある。われわれの研究結果は、虫垂がんには独自の生物学的特徴があり、限局性虫垂がん患者の多くでは再発リスクが低いことを示している。それぞれの腫瘍に固有の特徴を把握することで、より綿密な経過観察が有用な患者を適切に特定するとともに、不要な治療を回避できる可能性がある」と述べている。米国立がん研究所(NCI)によると、虫垂がんは極めてまれな疾患で、発症率は100万人当たり約1~2人とされている。しかし、近年の研究では、その発生が増加していることが示唆されている。これまで腫瘍専門医は一般に、虫垂がんは大腸がんと同様の経過をたどると考え、それに応じた治療を行ってきた。そのため、虫垂切除後に化学療法を行うこともあった。しかし、術後補助化学療法が転帰の改善と関連しているのかは明らかになっていなかった。今回の研究では、ステージI~IIIの限局性虫垂がん患者439人(年齢中央値56.5歳、女性50%)のうち、2000年1月から2024年2月の間にMDアンダーソンがんセンターで手術を受けた202人の転帰が追跡された。202人のうち19人(9.4%)で腫瘍の再発が認められた。再発率は、ステージIIの患者で9人(6.0%)、ステージIIIの患者で8人(19.5%)だった。5年生存率は、再発しなかった患者で95.7%、再発した患者で77.2%であり、再発患者では死亡リスクが有意に高かった(ハザード比〔HR〕5.50、95%信頼区間〔CI〕3.07~9.83)。一方、全ての虫垂がん患者(439人)を対象に、術後補助化学療法と転帰との関連について検討した。多変量解析の結果、術後補助化学療法は無再発生存期間(RFS)またはOSの改善と関連していなかった。ステージIIの患者では、術後補助化学療法によるRFSやOSの改善は認められず、外部検証コホートでも同様だった。一方、ステージIIIの患者では、術後補助化学療法を受けなかった患者が少なく、この集団で生存との関連を評価することはできなかった。さらに、腫瘍に認められる特定の遺伝子変異ががんの再発リスクと関連していることも示された。組織型別の解析では、杯細胞腺がんにおけるTP53遺伝子変異(HR 6.93、95%CI 1.50~31.00)と、非杯細胞腺がんにおけるGNAS遺伝子変異(HR 17.0、95%CI 3.09~93.3)が、それぞれ再発リスクの上昇と有意に関連していた。論文の筆頭著者である同がんセンター消化器腫瘍内科のSacha El Khoury氏は、「虫垂がんは全て同じではない。腫瘍の組織型と分子学的特徴を併せて考慮することで、再発リスクが本当に高い患者を、より適切に特定できる。この疾患の治療を個別化するには、そこから始める必要がある」とニュースリリースで述べている。一方で研究グループは、この研究が単施設を中心に行われたものであることから、さらなる研究が必要であることも強調している。(HealthDay News 2026年9月14日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/most-appendix-cancer-patients-can-skip-chemo-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: charnsitr/Adobe Stock