乳児の皮膚に存在する微生物が、アトピー性皮膚炎(AD)と食物アレルギーなどの併発リスクを早期に示す手がかりになる可能性があるようだ。1歳までにADに食物アレルギーまたは食物に対する感作(以下、食物感作)を併発した乳児では、生後2~3カ月時点ですでに皮膚マイクロバイオームの構成に特徴的な違いが見られたことが、新たな研究で示唆された。感作とは、特定のアレルゲンに対して免疫系が反応する状態を指す。ただし、感作があっても、実際にそのアレルゲンに曝露した際にアレルギー症状が現れるとは限らない。米ワシントン州立大学分子生命科学分野のZeyang Shen氏らによるこの研究は、7月17日付で「Allergy」に掲載された。Shen氏はニュースリリースの中で、「実際、まだこれらの疾患と診断されていない乳児において、皮膚マイクロバイオームの変化が認められた。これは最も興味深い発見の一つである。こうした変化は、医師が疾患をより早期に診断するのに役立つ指標として利用できる可能性がある」と述べている。皮膚は有害な微生物から体を守る天然のバリアとして機能している。このバリア機能が低下すると、炎症や刺激、かゆみを伴うADの発疹が生じる。研究グループによると、ADは小児の最大20%に認められ、その大半は生後1年以内に発症する。また、こうした乳児では、食物アレルギーや食物感作を併発することも少なくない。さらに、ADと食物アレルギーを併発した小児では、後年に喘息など他のアレルギー疾患を発症しやすくなる可能性があるという。今回の研究では、429人の乳児と一部の母親から採取した計1,078の皮膚スワブ検体のディープショットガンメタゲノムシーケンシングを行い、皮膚に生息する微生物を特定した。乳児からは、生後2~3カ月時(月齢中央値3.4カ月、80人から159検体)と生後12カ月の健診時(月齢中央値13.1カ月、425人から849検体)に検体を採取した。また、生後12カ月時には母親の肘窩からも70検体を採取した。その結果、ADの乳児では、食物アレルギーや食物感作の併発の有無によって、皮膚マイクロバイオームの特徴が異なっていた。生後12カ月時には、AD単独の乳児では健康な乳児と比べて、AD病変のある肘窩で表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が多かった。一方、ADと食物アレルギーを併発した乳児では、健康な乳児と比べてAD病変のある肘窩でStaphylococcus hominisが少なく、Dermacoccus nishinomiyaensisが多かった。Lactococcus属の菌は頬とAD病変のある肘窩で少なく、Malassezia slooffiaeは病変の有無にかかわらず多かった。また、生後2~3カ月時点では、ブドウ球菌属(Staphylococcus)の増加を特徴とする皮膚マイクロバイオームの乱れが、その後のADと食物感作または食物アレルギーの併発と関連していたが、AD単独とは関連していなかった。さらに、ADの乳児では、この疾患の主要な遺伝的リスク因子の一つであるFLG遺伝子に変異を有する可能性も高かった。FLG遺伝子は、皮膚のバリア機能を維持するタンパク質であるフィラグリンをコードする遺伝子である。FLG遺伝子変異のあるAD乳児では、変異のないAD乳児と比べて、病変のある肘窩でレンサ球菌属(Streptococcus)が少なく、頬とAD病変のない肘窩ではMalassezia slooffiaeが多かった。このほか、母親と乳児の間で多くの微生物株が共有されていることも明らかになった。研究グループは今後もこれらの乳児を追跡し、乳児期早期の皮膚の微生物と、その後の喘息などの健康問題との関連を調査する予定である。Shen氏は、「現在、これらの疾患は症状が現れてから診断されている。こうした微生物のシグナルを別の小児集団でも検証できれば、疾患リスクを今よりもはるかに早い段階で特定するのに役立つ早期指標として利用できる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2026年9月11日) https://www.healthday.com/health-news/allergies/whats-living-on-babys-skin-might-predict-childhood-eczema-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock