乳がん検診によって生涯にわたって症状を引き起こさなかった可能性のあるがんが発見され、治療を受けることになるリスクは、これまで考えられていたよりもはるかに低い可能性を示した研究結果を、南デンマーク大学教授のSisse Helle Njor氏らが9月14日付で「Journal of the National Cancer Institute」に発表した。今回の結果は、デンマークの検診データから得られた、過剰診断は5%未満という推定と整合するという。なお、ここでの過剰診断とは、放置していても生命を脅かしたり症状を引き起こしたりすることのないがんが検診によって発見されることをいう。検診を受けなければ、患者はそのがんの存在を知ることなく生涯を過ごしていたことになる。今回の研究結果は、検診で発見された乳がんの約0%~50%超が過剰診断に当たる可能性があるとした従来の推定値のうち、低い水準を支持するものだった。研究グループは、先行研究では追跡時点や出口スクリーニング(試験終了時などに対照群にも行う乳がん検診)の扱いなどが統一されていなかったため、過剰診断が過大に推定されていた可能性があると指摘している。研究グループは今回、マンモグラフィ検診に関する臨床試験のデータを統一した枠組みで再解析した。「本研究の目的は、マンモグラフィ検診に関する全てのランダム化比較試験から得られたエビデンスを統合し、乳がん検診によって過剰診断がどの程度生じているのかを、より明確に把握することだった」とNjor氏は説明している。同氏らは、これらの臨床試験の結果を、デンマークのフュン島で収集された集団検診プログラムの長期データと比較した。このプログラムでは、検診に招待された集団と招待されなかった集団における乳がんの累積発症割合の比(RP)の時間的推移を基に、過剰診断の程度が評価されていた。その結果、複数の臨床試験の52時点で得られた73のRPは、フュン島の検診データから予想されるRPとおおむね一致していた。研究グループは、この結果は、乳がん検診における過剰診断は極めて少なく、フュン島のデータに基づく「過剰診断は全乳がん症例の5%未満」との推定と矛盾しないことを示しているとの見方を示している。論文の共著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)公衆衛生学名誉教授のElsebeth Lynge氏は、「検診を導入すると、検診が導入されなかった場合と比べてがんが早期に見つかるため、導入当初は乳がんの診断数が増加する。その後、時間の経過に伴い、乳がんの診断数が減少するはずだ。早期発見されたがんの一部は、検診が導入されていなければもっと後になって診断されていたはずだからだ。また、試験終了後も女性が検診を継続して受けた場合でも、このような乳がん診断数の推移に影響が及ぶ可能性がある。実際、そのような例は少なくなかった。このような要因を考慮しなければ、当初の診断数の増加を過剰診断と誤って解釈する可能性がある」とニュースリリースで述べている。また、論文の上席著者である英ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏は、「総合的に見ると、検診ガイドラインや患者への情報提供にも影響を与えてきた従来の高い過剰診断率の推定値の一部は、十分成熟した臨床試験のデータが得られる前のエビデンスに基づいていたと考えられる」とニュースリリースで述べている。研究グループは、この研究結果について、乳がん検診を受けることで不必要な治療につながるのではないかとの懸念を抱いている女性に安心をもたらすものだとの見方を示している。Njor氏は、「この研究が、より現実的なエビデンスの解釈に向けた枠組みとなり、乳がん検診の案内を受けた女性への適切な情報提供に寄与することを期待している」と述べている。(HealthDay News 2026年9月15日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/less-overdiagnosis-in-breast-cancer-screening-than-thought-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Shutterstock