大気汚染がひどい日には、夜間の咳の頻度が高くなる可能性があるようだ。人気の睡眠アプリ「Sleep Cycle」から収集されたデータを解析した研究で、微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が高くなるにつれて、夜間の咳の頻度も増加する傾向が認められた。こうした関連は、PM2.5濃度が現行の指針値を下回る場合でも認められたという。英ケンブリッジ大学モバイルシステム学教授のCecilia Mascolo氏らによるこの研究結果は、9月15日付で「Communications Health」に掲載された。PM2.5への長期曝露は心肺疾患の罹患やそれらの疾患による死亡のリスク因子として確立されているが、PM2.5への短期曝露が呼吸器系に与える影響は十分に解明されていない。本研究では、アジア、欧州、北米、南米、オセアニア、アフリカの12カ国、32都市で収集された約500日分のSleep Cycleのデータを用いて、PM2.5への短期的な曝露と夜間の咳の頻度との関連が検討された。Sleep Cycleは、呼吸音、いびき、咳などの夜間の音を収集して機械学習アルゴリズムにより咳を自動検出する。このアプリのデータから、都市ごと・日ごとの1時間当たりの咳の頻度を算出した。複数の方法による解析の結果、PM2.5濃度が高いほど夜間の咳の頻度が高いという関連が一貫して認められた。都市別のメタ解析では、PM2.5濃度が10 μg/m³上昇するごとに夜間の咳の頻度が2.4%増加していた(相対リスク1.024、95%信頼区間1.013~1.035)。インフルエンザの流行状況を考慮しても、1日のPM2.5濃度と夜間の咳の頻度との関連は認められた。論文の筆頭著者である清華大学(中国)のTong Xia氏は、「インフルエンザ流行という交絡因子を加えればデータ上の関連は消えると思っていたが、消えなかった。このことには驚いた」と述べている。また、世界保健機関(WHO)の大気質ガイドラインに示されたPM2.5の24時間平均の指針値(15 μg/m³)を相対リスクの参照値とした統合解析では、PM2.5濃度と夜間の咳の頻度との間に非線形の曝露反応関係が認められた。PM2.5濃度の上昇に伴う咳の相対リスクの増え方は、高濃度域に比べて低濃度域でより急で、指針値の15 μg/m³を下回る範囲でも関連が認められた。Xia氏は、「誰でも咳をすることはあるが、単発であれ持続的であれ、咳は肺に刺激や炎症が生じている兆候だ。あるいは、まだ慢性化していないものの、将来慢性化する可能性がある何らかの状態の兆候かもしれない」とニュースリリースで述べている。一方、Mascolo氏は、「本結果は、大気汚染への曝露には安全といえる閾値が存在しない可能性があることを示唆している」と述べている。ただし同氏は、本研究が観察研究であり、PM2.5曝露と夜間の咳の頻度の増加との関連が示されたに過ぎないことも指摘している。(HealthDay News 2026年9月16日) https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/air-pollution-could-be-interfering-with-healthy-sleep-app-data-shows Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock