慢性ストレスと加齢に伴う認知機能低下との関連は、男性より女性で強い可能性がある。認知症のない50歳以上の成人を対象とした新たな研究で、慢性ストレスレベルが高いほど、女性では男性に比べて注意機能と言語機能の低下が大きいことが明らかになった。米ウェイクフォレスト大学医学部の疫学・予防医学教授のMichelle Mielke氏らによるこの研究は、8月25日付で「Alzheimer’s & Dementia」に掲載された。慢性ストレスや社会的支援はアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)に関わる修正可能な因子として注目されているが、そうした因子と認知機能低下との長期的な関連や、社会人口学的特徴がそれらの関連に与える影響は十分に明らかになっていない。この研究でMielke氏らは、Health and Aging Brain Study–Health Disparities(HABS-HD)に登録された3,873人の成人を対象に、ベースライン時の慢性ストレスおよび本人が感じている社会的支援(以下、知覚された社会的支援)の程度と、認知機能(注意機能、記憶機能、実行機能、言語機能)のzスコアの変化との関連を検討した。参加者は、経済的な困難、仕事、人間関係、健康、介護などに関する長期的なストレスと、知覚された社会的支援について質問票に回答した。認知機能テストは約24カ月ごとの追跡調査時に実施した。解析の結果、対象者全体では、ベースライン時の慢性ストレスレベルと各認知機能の経時的変化との間に有意な関連は認められなかった。しかし、性別によって関連が異なり、ベースライン時の慢性ストレスレベルが高いほど、女性は男性に比べて注意機能と言語機能の低下が大きかった。研究グループは、このような性差がホルモンなどの生物学的要因によるものなのか、ジェンダーロールのような社会的要因によるものなのかは不明だとしている。また、慢性ストレスレベルが高いほど、ヒスパニック系の人では非ヒスパニック系の白人に比べて記憶機能の低下が大きかった。一方、ベースライン時の知覚された社会的支援の程度が高いことは、注意機能の低下が小さいことと関連していた。この関連には、性別や人種・民族による有意差は認められなかった。ただしMielke氏らは、この研究は観察研究であり、慢性ストレスや知覚された社会的支援と認知機能との因果関係が証明されたわけではないとしている。それでも同氏らは、今回の結果は、加齢に伴う脳の健康維持に重要と考えられる要因を浮き彫りにしていると述べている。Mielke氏は、「人とのつながりやストレスは日常生活の一部であり、変えられる可能性がある」と述べている。研究グループは今後、ストレスを減らしたり、有意義な支援ネットワークを強化したりすることが、加齢に伴う認知機能の維持に役立つかどうかを調べたいとしている。また、これらの要因がADRDリスクにどのような影響を及ぼす可能性があるのかについても理解を深めたいとしている。(HealthDay News 2026年9月29日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/chronic-stress-may-cost-you-peace-of-mind-and-memory Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock