赤ちゃんと養育者の間で交わされる笑顔は、単に一瞬の喜びをもたらすだけではなく、乳児が自分の感情を調整する能力を身に付ける一助となっている可能性が、2件の新たな研究で示された。これらの研究は、米マイアミ大学心理学教授のDaniel Messinger氏らによるもので、詳細は9月24日付で「Philosophical Transactions of the Royal Society B」に掲載された。Messinger氏は、「笑顔を分かち合うことが赤ちゃんの生理機能に影響を及ぼし、それが感情を調整する能力の発達を促す」と説明している。今回報告された2件の研究のうち1件では、生後4カ月の乳児974人の胸部と腹部に電極を装着し、乳児と母親が互いにポジティブな関わり方をしているときの「呼吸性洞性不整脈(respiratory sinus arrhythmia;RSA)」を記録した。RSAは心拍変動の一種で、感情調整能力やさまざまな環境への適応能力に関連していることが示されている。乳児と母親のやり取りを追跡したところ、双方が互いにポジティブに関わり合い始める5秒前よりも早い時点からRSAが上昇し始め、そのような関わりが始まってから少なくとも4秒間は高い状態が維持されることが示された。一方、母親が笑顔を見せても赤ちゃんが笑顔を返さなかった場合や、その逆の場合には、このようなRSAの変化は認められなかった。Messinger氏は、「双方がポジティブな状態である必要があり、そのような状態が持続すると、乳児のRSAが上昇する。遊びは単なる楽しみではない。乳児と遊ぶことは乳児の生理機能に影響を与える。ポジティブな社会的交流の何らかの要素が、乳児の内的状態と関連している。乳児の生理状態は、母親とのやり取りの中で起きていることに関連しているのだ」と述べている。2件目の「笑顔に関する研究」では、58人の乳児について、生後4カ月時と生後8カ月時に母親、父親、見知らぬ大人と交流する様子を観察した。その結果、全般的に赤ちゃんよりも大人の方が先に笑顔を見せることが多く、赤ちゃんは大人が先に笑顔を見せたときに、笑顔になる頻度が高くなる傾向にあった。また、赤ちゃんと大人が互いに笑顔で接している場合、先に笑顔をやめるのは赤ちゃんのことが多かった。ただし、月齢が上がるにつれて変化も見られた。生後8カ月になると、生後4カ月のときよりも、双方が笑顔を見せていない状態から、赤ちゃんが先に笑顔を見せることが多くなり、大人がその笑顔に笑顔で応じる頻度もやや高くなった。つまり、月齢が上がるにつれて、乳児と大人が「互いによりダイナミックに反応し合うようになる」とMessinger氏は大学のニュースリリースの中で述べている。さらに、赤ちゃんは父親や見知らぬ大人の笑顔よりも、母親の笑顔に対して笑顔を返すことが多いことも明らかになった。Messinger氏は、「重要なのは、母親と父親だけでなく、見知らぬ大人も対象に含めた研究は今回が初めてだったという点だ。見知らぬ大人は母親よりも乳児に対して積極的に笑顔を見せ、笑顔を保つ時間も長かったが、乳児が笑顔を返す可能性が高いのは母親の笑顔を見たときだった。つまり、相手との関係性が極めて重要だということだ」と述べている。(HealthDay News 2026年10月1日) https://www.healthday.com/health-news/child-health/smiling-at-babies-could-help-emotional-regulation-develop Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock